一方、「ありがとう」はシンプルな感謝の言葉。言われただけで気分がよくなる、魔法のような言葉でもある。
ギリギリで飛び込んできてちょっと迷惑だな、とエレベーターの「開」のボタンを押してくれた人が内心では思っていたとしても、「ありがとう」と言われたら、「あ、いいことをしたみたいだな」とうれしくなるものだ。
相手の気分がよくなれば、自然と自分も上機嫌になる。「ありがとう」を1日20回以上言う人は、まったく言わない人と比べて、幸福度が1.5倍以上高いという調査もあるほどだ。
これからは「ありがとう」を口グセにしてみてはどうだろう。しかも、「ありがとう」と言われた人からは、こちらに対する好感度がアップする。人間関係が円滑になって、笑顔を絶やさず過ごせるようになるだろう
ペン、スマホ、コーヒーカップ。
手近なものを観察すると怒りがふくらまない!
仕事に集中したいのに、あの嫌味な顔が目に浮かぶ。あるいは、プライベートの時間を平和に過ごしたいのに、どうにもイライラが止まらない。こんなふうに、怒りの感情にとらわれて、頭のなかがいっぱいになることはないだろうか。
こういった怒りが長引くことで、いまこのときがないがしろにされている。過ぎ去ったはずの過去のイヤな出来事から抜け出せない。さらに、このままでは済まさない、報復してやるといった未来への暗い思いにもとらわれてしまう。
怒りの感情が生まれても、それに振り回されることなく、上手にコントロールできる人は、過去や未来よりも現在に集中する。
とはいっても、ただ「集中、集中……」と心のなかで唱えても、なかなかできるものではない。そこで、目の前にある何かを利用するのだ。
ムカムカした気分が抜けないとき、ペンや鉛筆、マーカーなどを持っているのなら、それに意識を集中してしっかり観察する。
ペンなら、材質はプラスチックか合金か、何色なのか、光沢はあるか、傷はついていないか、傷があった場合は深いのか、浅いのか、いくつあるのか、手触りはすべすべか、それとも手に吸いつくような感触か、インクは十分残っているか、どこのメーカーの商品か、商品名は何か、ロゴはついているか、ペン先の太さは何ミリか、書いた文字や数字はかすれていないか。