(3)農匠ナビ(滋賀県・茨城県ほかの企業)
水稲栽培には水が不可欠ですが、異常気象による降水不足もありえます。そこで同社はDX化を進め、水田の水管理をドローンによって遠隔自動化。農家の人手不足を解消し、さらに水資源の適正な配分をできるよう実験をしています。
(4)なっぱ会(石川県の企業)
冬は灯油で過ごす地域ですが、同社は廃食用油を燃料にしたビニール栽培で循環型農業を開始しました。
(5)鯉淵学園(茨城県の公益財団法人)
栗の生産地で廃棄される栗を養豚の飼料として再利用し、「マロンポーク」ブランドを立ち上げました。栗を食べて育った豚は、イベリコ豚以上の味になると評判のようです。
木材から家畜の飼料を製造
廃棄物処理業が活躍する背景
次に、酪農に関する取り組みを見てみましょう。
(6)エース・クリーン(北海道の企業)
廃棄物処理業で培った技術で、木材から牛の飼料をつくる活動を行っています。本社がある北見市はシラカバ(白樺)で有名な土地ですが、それを食用にするという発想は、これまでなかったでしょう。
地元産業の中心である牛の飼料は4分の1を輸入が占め、価格がどんどん高騰する傾向にありました。そこで注目されたのが、木材を草食動物の食料にできる「蒸煮」(じょうしゃ)という技術。特殊な圧力鍋でシラカバの革を200度、15気圧の水蒸気で処理すると、木材がオリゴ糖や酢酸に替わり、牛が好んで食べる食材になるというのです。
実は、技術自体は30年前からあったそうですが、当時は価格が高く、飼料の値段が上がったことで、実際に採算が合うビジネスになりました。シラカバ以外の柳なども使えるとわかり、これからの北海道の酪農に革命を起こすかもしれません。