「こんな考え方、知らなかった」“変わる勇気”が持てる本が刺さる。――アメリカで大きな反響を呼び、多くの人の心を動かした本が日本に上陸。『Master of Change 変わりつづける人』は、変化をチャンスに変える新しい視点を提供する一冊だ。
人生は変化の連続。それでも「変わりたくない」と抵抗する自分に疲れたり、不安を抱えたりすることは誰でもあるだろう。本稿で、本書から一部を抜粋し、「変化」と「安定」のバランスを見つけ、自分らしい生き方を取り戻す考え方を紹介する。

「私ってこんな人?」→気づかなかった“別の自分”が顔を出す瞬間Photo: Adobe Stock

1人の中に、いくつもの人格がある

 友人と一緒にいる時、職場で働いている時、義母の家にいる時、美しい音楽を聴いている時、土砂降りの雨に降られた時、ビーチで日光浴をしている時、SNSをスクロールしている時、あなたは異なる人格になる

 エニアグラムのどのタイプか、またはMBTIのどのパーソナリティに該当するかと尋ねられた時、もっとも正確な返答は「その状況での自分次第」だ。

 あなたの「自己」の定義は、あなたがいる場所、誰といるか、空腹か否か、前の晩どれだけ熟睡できたか、その朝に運動したか否か、その他さまざまな要素で決まる。

無意識のうちに、自分を限定していないか?

 作家のレベッカ・ソルニットが「わたしたちはなぜ、人は変われると信じなくなったのか?」と題する美しいエッセイを発表して、現代人はこれまで以上に変化を熟知する必要があると説いた。

「人間の性質は流動的だという考え方よりも、不変だという考え方をよく見かける」がこの思い込みは有害だ、と彼女は書いている。

 わたしたちは〈今の自分〉か〈かつての自分〉のイメージの中に自分を押し込め、他の人々や社会全体に対しても同じことをしようとする。

 その結果、成長も進歩も、これらの根底にある基本的な願望も抑えつけられる。

1つのことに執着せず、流動的に生きる

 わたしたちの文化では安定性を求める風潮が強いが、それは絶え間なく変化し続ける現実を反映していない。

 適切なスキルさえあれば、変化は成長を劇的に後押しする力になり得るという事実も。

 古い筋書きをひっくり返す時が来たのだ。

 この避けられない事実を受け入れようとしても、最初は不安を覚えるかもしれない。

 だが、わたしが徐々に悟ったように、本書を読み進めるうちに、あなたも人生の流動性を受け入れれば、やってやろうという気になり、流動的に生きるほうが有利だとすら感じるようになる。

 言うまでもなく、変化は痛みを伴うこともあるが、さまざまな利益ももたらしてくれるのだ。

 変化を今までとはまったく異なる視点で捉えて対応する方法――わたしはこれを「ぶれない柔軟性〈Rugged Flexibility〉」と名づけた――を習得すれば、苦痛、いらだち、不安を最小限に抑えられるし、多幸感や持続的な充実感を味わいやすくなるだろう。

 さらに、あなたが情熱を注ぐ活動や仕事で、より良いパフォーマンスを長く維持できるようになる。

 こうして、ぶれない柔軟性は卓越性を維持するための基盤となる――気分良く物事にうまく対応できるようになり、長期的な目標を実現しやすくなるのだ。

※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。