
「一粒万倍日」や「天赦日」など、最近よく目にする「ラッキーデー」。引っ越しや結婚など、人生の節目には良日を選びたいという人は少なくありませんが、その日が本当に幸運を運んでくれるのでしょうか。仏教における運・吉凶・縁起の捉え方、運を拓くための心の持ち方、「自分は運がいい」と思える人になる具体的なヒントを、気鋭の若手住職である仁部前誠氏、 仁部前叶氏が新刊『やわらか仏教』(青春出版社刊)から教えてくれます。
「運がいい、悪い」を仏教的に考えると
「引っ越しにいい日を教えてください」「一年でいちばんラッキーな日に入籍したいです」このような暦に関する相談はお寺にもよく寄せられます。
「暦のことはお寺に聞けばいい」と考える人は多いようですが、暦の学問はもともと仏教発信ではなく、日本の文化が形成されるなかで自然に神仏と交わり、寺院でもいい日に行事を執り行うようになったという経緯があります。
昔は縁起が悪いことが大変に嫌われ、彗星の出現や月蝕などが不吉な前兆ととらえられていたためです。
もともと暦という学問は「火金地火木土」などの惑星や「○○座」といった星座などを基準に考えられ、古代中国の思想や易学をベースに発生したもの。それが日本にも伝わり、独自の吉凶判断がされるようになってきたのです。
「星祭り」という仏教の儀式では、旧暦の元旦、節分、冬至に星を供養して平穏無事を祈り、一年の吉凶を占ったりします。
誰でも知っている身近な暦の世界といえば大安や友引などの「六曜」ですが、暦に詳しい方が注目するラッキーデーは他にもいろいろあります。
その一つが「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」。ご存じでしょうか?