エアライン・鉄道の進路2026年6月5日、共同記者会見を開催した日本航空(JAL)の西田真吾執行役員(左)とNTTドコモの坪谷寿一常務執行役員(右) Photo by Yuito Tanaka

航空大手2社が、相次いで異業種との連携を強めている。日本航空(JAL)はNTTドコモと組み、通信サービスを通じてマイル経済圏を拡大。一方、ANAホールディングスは世界的ホテルチェーン・IHGホテルズ&リゾーツとの提携を強化し、高付加価値な旅行需要の囲い込みを進める。一見似た戦略に思えるが、その発想は百八十度異なる。連載『エアライン・鉄道の進路』の本稿では、非航空事業ににじむ両社の成長戦略を読み解いていく。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

JALがドコモと「ahamo」で提携
拡大する非航空の送客基盤

 航空大手2社が、相次いで異業種との連携を強めている。その背景には、航空券の販売だけに依存しない収益・送客基盤の構築と、マイル経済圏の拡大がある。

 ANAホールディングス(HD)は、2026年4月に「インターコンチネンタル」「ホリデイ・イン」などを擁するIHGホテルズ&リゾーツとの包括提携を発表した。ANAマイレージクラブ会員は、ステータスに応じて世界中のIHGホテルで客室アップグレードなどの優遇を受けられるようになり、ANAマイルとIHGワンリワーズポイントの相互交換も始まる。

 ANAは、同月に上級会員向けクレジットカード「ANAスーパーフライヤーズカード(SFC)」の空港ラウンジの利用などの特典条件を「年間300万円以上」の決済に引き上げることを発表。高付加価値な旅行需要の囲い込みを進めはじめた。

 一方の日本航空(JAL)は、通信大手NTTドコモと提携する。両社は6月5日、新サービス「JALモバイル powered by ahamo」を発表。同月25日より、ドコモの格安プラン「ahamo(アハモ)」のJALモバイル版の提供を開始する。

 この回線を利用すると、JALマイルだけでなく、上級会員資格に必要な「Life Status ポイント」もたまる仕組みだ。追加料金なしで海外データ通信が利用できるアハモは、海外渡航の多いJALユーザーとも親和性が高い。通信という強力な生活インフラを通じて日常の接点を増やし、本業の航空利用へ送客する狙いがある。

 高級化路線を進むANAに対して、JALは生活サービスを囲い込んでいる。JALが顧客との日常の接点を増やしている背景には、同社の中では異色の経歴を持つ”ある人物”の存在がある。

 そこで次ページでは、非航空事業の近年の動きから、二分され始めた両社の狙いを読み解いていく。