Photo by Masato Kato
携帯電話市場の成熟化と人口減少社会の到来で、NTTドコモ本業の通信事業が岐路に立たされている。果たして“ケータイ”に、これ以上の成長は見込めないのか――。足元では、既存契約者の携帯電話料金の値上げと「つながりにくい」とされる通信ネットワークの品質改善も課題だ。長期連載『通信 大激変』の本稿で、NTTグループの稼ぎ頭・NTTドコモの前田義晃社長を直撃した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
競合他社に“負け続け”の歴史を挽回する!
「販促強化」はNTT持ち株の指示なのか?
――NTTドコモはMNP(電話番号を変えずに他社に乗り換える番号持ち運び制度)で、KDDIやソフトバンクなど競合他社に顧客が流出し続けてきた歴史がありますが、2024年6月に前田社長が就任して以降、多額の販売促進費を投下して顧客を奪い返す方針に転換しました。どのような思いがあったのでしょうか。
もともと私が考えていたのは、ドコモの通信の顧客基盤を確固たるものにしなければならないということです。長く顧客を他社に取られ続けてきたので、顧客基盤は確固たるものになっていなかった。やはりコンシューマ通信の事業基盤が固まらないと、その上にいくら(金融やコンテンツなどの)成長事業を積み上げてもうまくいきません。
私は社長になる以前まで、スマートライフ(非通信)事業を担当する副社長でしたが、当時から「通信の回線契約」が全体の事業に影響すると思っていました。ここが減り続けて、シェア1位から陥落してしまうことにでもなれば、われわれのブランドに対するマイナスはかなり大きい。そんな危機意識を持っていました。
ドコモはNTTグループの中で最もキャッシュを稼いでいるのですが、その一方で、販売促進に使うお金が他社に比べて弱かった。ここにお金を思い切って投下しなければ競争に勝てないので、踏み込むしかない。そうした課題認識を持って社長になったので、一度しゃがんででも顧客基盤を固めてもう一度成長につなげていこうと考えています。
――前田社長就任のタイミングで、NTT持ち株の島田明社長は「ドコモのシェア35%を切ることは許しがたい」と述べて他社との顧客争奪戦に勝ち切るまで販促費を積んでいくと主張しました。危機意識は、NTT側に強いように見えます。
ドコモの社内では、23年度の終盤あたりから、その問題意識について、島田およびNTT持ち株も含めて話は始めていたと思います。
――ドコモの販促強化は、NTT持ち株からの指示なのですか。
ドコモは、ソフトバンク、KDDI、楽天モバイルへのこれ以上の顧客流出を防ぐべく、販販費を積み上げて巻き返しに動いている。果たして、その成果はどこまで出ているのか。次ページでは、携帯の既存契約者の料金値上げの可能性とともに、通信ネットワークの強化に向けた基地局計画の「実数」や、金融持ち株会社設立の舞台裏について、前田社長が語り尽くす。







