
近畿の地方銀行界で存在感を高めているのが、地銀株を中心に投資するありあけキャピタルだ。滋賀銀行に続き、池田泉州ホールディングス株の大量保有を明らかにし、再編の火種を各地にくすぶらせている。地銀に対する市場の視線が厳しさを増す中、2025年3月期の最新決算を基に、三つの評価軸から「銀行実力番付2025」を作成。特集『銀行実力番付2025』の#9では、近畿編の総合ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
3指標4年分で銀行の実力を評価
近畿の地銀10行「総合ランキング」の結果は?
金利上昇が追い風となった2025年3月期決算。銀行業界全体は利ざや拡大で好業績に沸いた。
だが、金利上昇の恩恵が全ての銀行に行き渡っているわけではない。預金金利は各行横並びで上昇する一方、貸出金利は銀行の規模や信用力によって差が生じやすく、収益格差はむしろ拡大傾向にある。
さらに、決算では見えにくいリスクも静かに膨らんでいる。金利上昇によって保有債券の含み損が急拡大。株価下落も加わって、水面下で痛手を被った銀行は少なくないのだ。
金利上昇の恩恵とリスクが交錯する中、ダイヤモンド編集部は銀行の実力を測る「銀行実力番付2025」を作成した。
評価指標には「本業利益率」「運用総合利回り」「預金増減率」の3項目を採用。いずれも銀行の規模に左右されないよう、指標は全て“率”で統一し、最新の25年3月期を含む直近4年間の実績を基にスコア化した。
本稿では、近畿の地方銀行10行を対象にした総合ランキングをお届けする。
近畿の地銀の間で、いま最も警戒されている存在がある。地銀株に照準を定める投資ファンド、ありあけキャピタルだ。
発端は4月14日。同ファンドが関東財務局に提出した大量保有報告書により、滋賀銀行株を5%超保有していることが判明。関西地銀の経営陣に走った緊張は、瞬く間に全国へと波及した(詳細は『次の照準は滋賀銀行!千葉銀行と千葉興銀の再編を仕掛けた「ありあけキャピタル」の狙いとは?』参照)。
さらに5月には、同じ関西圏の池田泉州ホールディングスの株を5%超保有していることが明らかになった。
他にも同エリアには、百五銀行や京都銀行をはじめ、政策保有株を多く抱え、含み益が豊富な地銀も複数存在する。株主側からの圧力は今後ますます高まっていくはずだ。
そんな渦中にある近畿の地銀の実力はどう評価できるのか。総合ランキングのベスト&ワースト1位を、次ページで公開する。