金利で明暗! 銀行絶望格差#京都銀行インタビューPhoto by Satoru Oka

8000億円に迫る含み益を抱える京都銀行を傘下に持つ京都フィナンシャルグループ(FG)。この余力は、地方銀行100行中トップだ。果たしてこの余力をどのように使うのか。2022年度まで京都銀行頭取を務めていた京都FGの土井伸宏社長に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

「益出し余力」地銀100行中トップ
“金持ち”地銀京都FGの余力の使い道

――2022年から海外金利、23年後半には国内金利も上昇し、地方銀行の多くは外国債券や国債などで多額の含み損を抱えることになりました。益出し余力ランキングは37.07倍で全地銀100行中1位になった京都銀行として、どのように状況を捉えていましたか。

 外債は、当行では2年ほど前から処理を進めてきました。海外の金利が急上昇した一昨年度と昨年度は、逆ざやとなっていた外債を中心に処理しています。

 それができたのは、23年中間期末時点で当行には8000億円程度の政策保有株の含み益があったことが大きい。だからこそ、金利の動向を見ながら持ち続けるか、あるいは処理するかという柔軟な対応ができたわけです。

 今のような金利が上昇する局面で、トータルで益が出る状況ではない場合、身動きが取りにくい。運用や融資などでチャンスが目の前にあっても、思い切った判断ができないと思います。

 当行は23年10月に持ち株会社体制に移行し、新たな投資を行う計画を立てています。そうしたことを考える余裕が生まれる、非常に恵まれた状況にあると思っています。

『地銀100行「益出し余力」最新ランキング!“金持ち地銀”1位は京都、“貧乏地銀”のダントツ1位はSBIの提携先銀行』参照)

益出し余力とは、銀行が保有する株式や債券など有価証券の評価損益をコア業務純益で割った値で、銀行が稼ぐ力の何倍の含み損益を抱えているかを示す。ここ数年の国内外の金利上昇を受けて、地方銀行で保有債券の含み損が急増していることから、日本銀行が着目する安定性指標の一つだ。その益出し余力ランキングで、京都銀行は全地銀100行の中で断トツとなった。一方で、その余力をどのように利益増加につなげるかは、京都フィナンシャルグループ(FG)にとって喫緊の課題。株主からも厳しい視線が注がれている。次ページ以降で、その余力の使い道について、京都FGの土井伸宏社長に存分に語ってもらった。