「騒音おばさん」は“笑われていい存在”だったのか?「晒し動画」を“娯楽化”するメディアへの違和感写真はイメージです Photo:PIXTA

誰でも簡単に動画を撮影し、それを世界に向けて公開できるようになった今、ネット上にはたくさんの「晒し動画」があふれている。なんらかのトラブルや他人の迷惑行為を撮影して晒す行為であるが、これが過剰な制裁につながってしまうこともある。(フリーライター 武藤弘樹)

街でのケンカや他人の奇行や痴態…
非日常に好奇心

 ショート系の動画が面白くてよく観てしまう。XやInstagram、TikTok等のSNSが得意としていた短い尺の動画が、YouTubeでショート動画のサービスが始まったのは2021年7月だ。

 短い尺の動画には情報をギュッと詰め込んだものや、スマホで撮影したものをそのままアップしたかのような臨場感あるものなんかがある。

 スマホ撮影による動画のアップロードは垣根が低いので投稿される件数が多く、投稿するプラットフォームにもよるが条件を満たせば収益化も可能なので、たいへん盛んな一大コンテンツとなっている。

 それで、そうしたスマホ撮影の動画に街でのケンカや他人の奇行や痴態、撮影者を威嚇している人などをとらえたものがあって、これらの再生数がしばしば伸びている。

 やはり非日常的な出来事というのは好奇心がそそられるもので、街中では稀にしか遭遇できないそれらの現場をネットを通じて簡単に見られるようになったのは文明の進歩の恩恵である。

 修羅場や、どこにとばっちりが行くかわからないような迷惑行為を行っている他人がいても、自分が現場にいることなく画面越しの安全圏から高見の見物ができるので余計な不安がなく、楽しさ・興味深さしかない。なんなら自分が安全圏にいることへの愉悦すら感じられる。