しかも無償で就業時間外にやりたいと言う。
私は当初「その発想は素晴らしいけれど、時間外でやるというのは大変なことだから、大丈夫ですか?」とあまり乗り気ではなかった。
運輸部門の社員たちが言うには「お客様にあいさつをしたり、収集の前に廃棄物に一礼したりしていると、お客様が感謝してくれます。暑いときには『ご苦労さん。冷たいお茶を飲んで行って』とか、寒いときには温かい缶コーヒーをくださったり。そうやって親切にしていただいたお礼に、自分たちができることは何かと考えました。それがゴミ置き場を清掃して、きれいにすることなんです」と言うのだ。
一度やってみて、それでお客様の様子をみようということになり、早速、彼らは掃除を始めた。
掃除を申し出ると、お客様は「いくらかかるの?」と聞かれるので「いえ、日頃の感謝の気持ちなので、無償でやらせていただきます」と答えると、「ほんと?」と半信半疑だったそうだ。「まあ、タダでやってくれるなら……」と許可をいただいて掃除を始める。
廃棄物が集めてあるところやゴミ置き場というのは、たいていゴチャゴチャしていて、汚れているもの。むしろそうでないところのほうが少ない。しかし、名晃の社員たちは、ここをきれいに掃除して、ゴミ箱までピカピカにしていくのである。
それを見たお客様は感激して「ゴミ置き場がパワースポットになったみたい」と褒めてくださった。以来、お客様の廃棄物置き場の清掃を「パワースポット化」と呼ぶようになり、これがまた名晃の評判を上げることになった。
