「それでも買わない」89歳の現役投資家が守る“ある判断基準”
テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。そして19歳のとき、4つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりだった。あれから68年、バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで減った。しかし89歳になった今、資産は20億円以上に増え、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。

【資産20億円・89歳の現役トレーダー】儲ける投資家はやっている「焦らない投資」の技術写真:川瀬典子

テクニカル分析で見極める

 決算内容をチェックして、投資対象としては悪くないということであれば、購入を検討するため、今度はチャートを見に行くわけです。

 まずローソク足を日足に変え、価格帯別出来高とRSI(相対力指数)、MACD(移動平均収束拡散法)を見ます。

 RSIは買われすぎか、売られすぎかを判断するための指標で、数値は0~100%で表されます。一般的に70~80%以上で買われすぎ、20~30%以下で売られすぎと判断されます。

 MACDは、短期の移動平均線と中長期の移動平均線を使用することで、買いと売りを判断する手法です。

チャートのシグナルは慎重姿勢

 以前、ニデック株に着目したときのこと。前日の終値は7784円。RSIは56%。ここで買えていれば、いい数字とはいえませんが悪くもありませんでした。

 ただしADR(米国預託証券)を見ると8300円台まで上がっている。8300円台だとするとRSIは明らかに高い。直近の買い場は、7月12日のRSIが40%あたりのところでした。

一目均衡表・週足からも慎重判断

 次に一目均衡表と新値3本足で見ます。しかし、ここでも「買い」と判断できる情報は出てきません。さらに週足でRSIなどを見直します。

 日足から週足に変えると、チャートの形は少し変わってきますからね。ここで見ても、それなりの高値圏です。

ファンダメンタルズも加味する

 最後に銘柄情報を見ます。PERは27倍。一般的にPERは15倍くらいが平均的とされていて、それ以上は割高、それ未満は割安だと考えられます。

 なので、PERは高すぎる。一方、配当利回りは0.83%と低い

「買わない」という選択を貫く

 ADRの値段を参考に、おそらく今日中に8300円くらいまでは上がる可能性が十分にあるだろうと考えました。

 ただ8300円は、いまのチャートから見ると「高すぎる」数字です。そこで前日が7784円で、かつ前日までに出ていた売り注文が朝一番で消化されるはずということを加味し、「8050円までであれば買うけれども、それ以上なら買わない」と判断しました。

 決算はいいですし、それ以上に上がる可能性も高いと考えましたが、私の売買基準に外れる投資はしないと決めているのです。