うまい表現を模索すると
逆に伝わらないパターンも

思い込み(3)気の利いたことを言わなければならない
→今のあなたのままでいい。すばらしい話、うまい表現は必要ない。

 本稿でお伝えするのは、今のあなたのままで言いたいことがスッと伝わるようになる技術です。

 この技術さえ身につけられれば、ムリにすばらしい話やうまい表現を考える必要はありません。

 言葉もそのままでいいのです。

 たとえば、ムリに相手を持ち上げても、相手におべっかとして受け取られると逆効果ですし、ムリに場をなごませるジョークを言ったとしても、場合によっては逆に気まずくなるかもしれません。

 ニュースのアナウンサーを思い浮かべてください。ニュースの原稿は用意されていて、読む人が異なるだけです。

 その原稿も、気の利いた言い回しや格好いい表現を使っているわけではなく、非常にシンプルな文章で構成されています。

 そう考えれば、私たちも「話がうまい人」をめざすより、まずは伝えたい情報や思いを確実に伝えることをめざしたほうがよいのです。

 もともと、うまいことを言える人はそのままでいいのですが、そういうのが苦手な人がうまいことを言おうとがんばる必要はまったくありません。

 あなたは、あなたのままで大丈夫です!

すばらしい歌詞なのに
声が聞き取りにくかったら…

思い込み(4)話の中身さえよければ、飾らない話し方でも問題ない
→話の中身をよりよく伝えるために、声や伝え方に気を配ろう。

 思い込み(3)の「気の利いたことを言わなければならない」の逆で、「話の中身さえすばらしければ、話し方はうまくなくても大丈夫」という考えの方もいらっしゃるかもしれません。

 ほとんどの人は、よい内容の言葉を口にすればそれだけで相手に伝わると思いがちです。それは、言葉の力を大切にしているからなのでしょう。

 一方で、たとえば、すばらしい歌詞の曲があったとして、その歌い手が聞き取りにくい声で歌っていたらどうでしょうか?

 歌詞が途切れ途切れだったり、声が小さくて部分的に聞こえなかったりすると、歌詞の意味に集中できなくなりますよね。

 こうしたことは、日常でもよく起こります。