自己流で行うのは要注意!
くっきり・はっきり話すコツ

思い込み(2)「くっきり・はっきり」話せば、すごくよく伝わる
→自己流で「くっきり・はっきり」話すことは、逆効果になるケースもある。

 人前で話すときには「くっきり・はっきり」を意識したほうがいい、とよく言われます。

 その結果、多くの人が文章をブツ切りにして、一言一句を強調した子どもっぽい音読のような話し方になっています。

 たとえば、私のボイトレでは生徒さんに、

「ハワイの 青い海が 美しい」

 という文章を、大勢の人に伝えるように読んでみてください、とお願いしています。

 すると、90%の人が、

「ハワイの」

「青い海が」

「美しい」

 といった具合に分けて読みます。

 こんなに短い文章なのに、ひと息で読まず、切るほうがいいと思っているのです。

「ハワイの青い海が美しい」はひと息で読むほうが、相手に伝わります。

「くっきり・はっきり」は、言葉の意味をブツ切りにします。

 文章をブツ切りにしすぎると、抑揚が極端についてしまいます。これが続くとクセが強いので、声の上げ下げが不快にとられます。聞く側が瞬時に意味を理解できず、頭の中でつなげ直す必要が出てきます。

 結果として、話がわかりにくくなり、必要なことが伝わりません。

 意味のまとまりをひと息でつなげないと、聞くほうは理解できないのです。

 人は相手の話が理解しづらいと、だんだんストレスを感じはじめ、やがて集中力が切れます。ついには話を聞くのがイヤになってしまう場合もあります。

 今までは、相手にわかりやすく伝えたい一心で、「くっきり・はっきり」を意識してきたかもしれません。

 もし、その努力がかえって相手のストレスになってしまっているとしたらどうでしょうか。

 こんなに残念なことはありません。

「ちゃんと話したはずなのに…」なぜか相手に伝わらない人がやっている「4つの勘違い」とは?(C)みわまさよ