奥野 どれくらい多いんだろうと思って、インターネットの検索数を調べました。通常でも「五十肩」の検索数は非常に多いのですが、当時はそのうちの4分の1くらいの人たちが、「シルバ」「SIRVA」という医学用語を調べていたんです。
現在ではコロナワクチンを受ける人はごく少数なので、そういった状況は時間の経過とともに収まってきました。もともとワクチンを打たなければ出なかった症状なのです。何しろ患者さんが「あの日から痛い」と言っているのですから。
遠藤 そこまで痛いとQOLが本当に下がるわけですよね。苦しみが怨みにつながってきて、裁判に持ち込むと言っている方もいます。
奥野 そうそう。うちのクリニックにも「いったい誰が悪いんだ」ってすごく怒っていらっしゃる患者さんがいます。自然に五十肩になったんだったら、ある意味で誰のせいにもできませんが、国に言われてというのが……。
遠藤 それに巻き込まれてしまったのが、非常につらいですよね。
ワクチン用の針は
欧米人向けに作られていた
奥野 五十肩と同じようにモヤモヤ血管が生じているため、それを減らすように治療するのですが、ワクチンの影響が長引いているのか、なかなか減ってくれません。
いったん減らしたと判断して患者さんの症状も改善したはずなのに、数カ月したらまた痛みが生じてくるなど、通常の五十肩の診療ではあり得ないようなことが起きていました。私たちも、そういう患者さんに対しては治療費を多少減額したりして、少しでも救済のお手伝いができるように努めました。
その後、慶應大学から発表された論文で、コロナワクチン接種後に何も症状を抱えていない人でも、最大で180日間も心筋や肩まわりに炎症(異常な血管の増殖)が生じているという報告を読み、副作用としては非常に怖いものだなと改めて感じたのを覚えています。
緊急時だったので、ワクチン用の針はかなり急ピッチで生産されました。主にアメリカで作られた欧米人用でしたから針の長さが25ミリもあり、しかも太いものでした。