奥野 「スキー中に転んでこうなって、ずっとこのへんが気持ち悪くて痛くて」という方や、交通事故に遭った方など、10年を超える痛みが消えたというのは、それはもう感動ものですよね。
遠藤 長く続く痛みは本当に生活の質を落としてしまうので、メンタル面にものすごく影響してきます。確かに痛みがあると怒りっぽくなってしまいますし、がんばれなくなってしまいます。家庭内の雰囲気が悪くなる傾向もあります。痛みに直面することはどんな人にも起こりうることです。そのときの対処の仕方や向き合い方、感じ方とか考え方などを事前に知っておくのはとても有意義なことだと思います。

奥野 首の痛みはメンタル面にくる代表例です。患者さんが何もやる気がなくなって、うつ状態に陥ってしまうケースが多いようです。
これまではむちうち症なんて「まあしょうがないよね」で済まされていたし、基本的にはむちうちになって早期の数カ月くらいは手厚く賠償もされますけど、そのあとは「症状固定」とされるので補償もあまり期待できません。
奥野 遠藤先生がおっしゃるように、「痛い」とひと口に言っても、これまで画像化できなかった症状はいっぱいありますよね。僕らが目指すのは「隠れていた痛みをなんとかする」というプロジェクトです。いろんなきっかけで起きる痛みというものがありますから。
遠藤 歴史的なプロジェクトです。奥野先生の方法論がアメリカやドイツほか世界中で求められているということです。「痛み」は全世界の人間共通の悩みですから。