悠仁さまにとり、このことはとても大きな出来事だった。当時、悠仁さまは、皇太子さまや父、秋篠宮さまに次いで、皇位継承順位は第3位だった。

 その後、上皇さまの生前退位が認められ、秋篠宮さまは皇位継承順位が第1位の皇嗣となり、悠仁さまは第2位となった。秋篠宮ご一家はもちろんのこと、このビデオメッセージを重く受け止めた。

「象徴とは」をずっと
考えてきた上皇さま

「当日は家族全員でその時間テレビで流れた映像を見ました」

 と、2016年11月22日に行われた誕生日会見で秋篠宮さまは振り返り、上皇さまが生前退位の意向を示唆したことについて、次のように賛同していた。

「かなり以前のことだったと思います。また、どのような形というのも、何かあるときそういう機会をもって話をうかがうということではなく、折々にそういう考えがあるということをうかがっておりました。……(中略)即位されてから、陛下は象徴というのはどのようにあるべきかということをずっと考えてこられてきたわけです。その一方で、ご自身が考えている象徴としてのお務めが、高齢になってそれが果たせなくなるときがくるだろうということも考えておられました。そのようなことから今回のお話になったわけですが、そのお気持ちをできるだけ多くの国民にも知ってもらいたいという考えを持っておられました」

 そして、秋篠宮さまはこのように続けた。

「私自身としては、長い間考えてこられたことをきちんとした形で示すことができた、これは大変よかったことだと思いますし、話されるにしてもさまざまな制限がある中で、最大限にご自身の考えを伝えられたのではないかと考えております」

「天皇の望ましいあり方」を
模索しつつ過ごしてきた上皇さま

 私自身は、現在の上皇さまが当時述べられた「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の次の箇所に強い関心を持った。

「即位以来、私は国事行為を行うとともに、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましいあり方を、日々模索しつつ過ごしてきました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、さらに日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています」