だが時に、マネージャーではないのに、初めから主語がWeの人がいる。
例えば、私たちチームはこういうことをしたくて、そのために制度上こういう無駄な作業が発生してしまうので、そこを効率化できないか考えています、といった次第である。
私の経験上、こうした人はすぐにリーダーやマネージャーの候補リストに入る。
反対に、なんらかの事情でマネージャーに昇格したところで、一生主語がIのままの人もいる。チームの成果ではなく、自分の給与や立場が上がらなくて困っている、といった具合である。そうした人はマネジメントに問題を抱えていることも多い。
主語をweで考える習慣を続ければ
あなたは自然と出世していく
主語がWeの人は、仕事を進めるうえで他責にならないし、自分だけでなくチームのために問題解決に取り組むので、周囲からの信頼も醸成しやすい。
要は、個という局所最適に陥るのではなく、チームという全体最適で考えるような振る舞いをするのである。
そして、統括するチームが部署になり、事業部になり、会社になっていくことこそが、昇進であり、より大きな仕事を任せられるということである。結果的により大きな成果を出すことができ、翻って給与に反映される。
無論、私が見ている限りでも、人が役割をこなすというより、役割が人を作る部分もある。
人事の考えでは、入学制と卒業制といったようなものがあるが(前者はポテンシャルで職位をつけ、後者は十分なスキルが身に付いたことを確認してから職位をつける)、それでも先取りで視野を広げておくことに越したことはない。あなたの上司も、安心してあなたを昇進させられるだろう。
主語をWeで考えることには、少なくとも普段の仕事でマイナスの副作用はないように思う。
そして、これを1日2日で終わらせるのではなく、1週間、1カ月、半年、1年と続けていくと、初めは意識的に行っていた思考法でも、繰り返せばなじむもので、自然にものごとをWeで考えられるようになるだろう。そうなればあなたの職位は自然に上がっていく……はずだ。上司に見る目があれば、だが。
現代社会に生きるあなたは
資本主義から逃れられない
望むと望まざるとにかかわらず、人は規範の中で生きている。そして、規範は通常、1人以上の人、たいていはグループや集団の中で定義される。