多忙で混乱するキャリアウーマン写真はイメージです Photo:PIXTA

組織では「正しい自分が、なぜ損をするのか」と嘆きたくなる瞬間が必ずある。昇進や職場の悩み、ご近所トラブルまで──理不尽な現実を前に、私たちはどう振る舞うべきか。※本稿は、山田尚史『きみに冷笑は似合わない。 SNSの荒波を乗り越え、AI時代を生きるコツ』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

期待値で考えれば
昇進も「運」ではなく「戦略」に

 私は世の中を確率モデルで解釈したうえで、日々の行動を、期待値を上げるための試行の繰り返しとしてとらえている。

 もう少し厳密な表現をすると、期待値を上げるための試行として期待値が高いだろうと期待する試行の繰り返し、である(なぜなら、ある試行によって本当に結果の期待値が上がるかどうかは、厳密にはわからないため)。

 期待値について改めて説明すると、乱数によって報酬が決定される場合において、各報酬とそれぞれの確率の加重平均である。サイコロを振ってお金を得したり損したりするゲームについて考えると、この世のあらゆるものはこれに近い挙動をしている、と私はみなしている。

 疲れ果てた状態で家に帰って、走りに行けるかどうかも確率によって決まる。あなたがビジネスパーソンなら、来期末における昇進や待遇の向上について考えるのもいいだろう。自分の仕事をこなすだけでなく、上司や同僚を手伝い、あるいはチームの成果のために尽力することで、昇進の確率は上げられるのではないだろうか。