さらに言えば、そのメカニズムを理解することもまた重要なことである。
昇進はどのような力学で決まるだろうか。誰が意思決定をするのだろうか。仮に課長が申請して部長が承認するようなフローであったとすると、今度は課長や部長の頭の中を想像する必要がある。
もしかしたら、部長は課長の出してきたものを、ほぼノーチェックで通しているかもしれない。その場合、働きかける相手は課長であり、部長は意識しなくていい。
確率で職場を見れば
上司の動きが読めてくる
あるいは、課長が何を出しても部長が突き返していて、課長はもう部下の昇進を申請したくないと考えているかもしれない。それならば、部長からの評価を上げ、部長があなたの昇進を承認するだろう確信さえ持てれば、課長は特に抵抗なく昇進の申請を出してくれるかもしれない。それぞれの場合において、課長や部長とどのようなコミュニケーションをするかは変わってくる。
自分が昇進できないと感じているときに、「わかってくれない上司が悪い」といったように理由を外部に押しつけるのではなく、裏にあるメカニズムを理解して適切な働きかけができていない自分が悪い、と考えた方が健全であると私は思う。
そうすれば、じゃあ解決のためにどうすればいいか、という前向きな思考も発生し、成功や失敗を通じて、世の中を解釈するためのモデルの精度も向上していく。
無論、中には本当に理不尽な人や環境もあるので、そうしたときは自分を責め続けるのではなく、距離を置いた方がいい。だが、少なくとも環境のせいにし続けて行動を起こさないのでは、何も変わらない。
自分が正しくても損をするなら
「口だけじゃなく動く」方が勝ち
「あの人は間違っている」「こんな仕打ち、許されるはずがない」と思うことはないだろうか。自分は品行方正に生きているつもりでも、常識や道理から外れた人の行動で、不利益を被ることは珍しくない。
例えば、あなたの家の前にごみ捨て場があるとしよう。さらに、町内に住んでいる人が分別しないせいで、自分の家の前で回収されずに置き去りになっているごみに悩まされているとする。夏場だと、においもして大変不快な思いをするだろう。何度注意してもその人はごみを混ぜて出してきて、なのに嫌な思いをするのは当人ではなくあなたである。こんなこと、許されるはずがない。