他人を変えるよりも
自分の行動を変える方が早い

 こう言ってはなんだが、人はそう簡単に変わらない。逆に、変わったらそれはそれで怖いし、他人を信用できなくなるだろう。

 もちろん少数の例外もある。過去に私が採用したプログラマーの1人は、入社後に自己中心的な言動が目立ち、周囲から振る舞いへの苦情もあって、私も扱いに困っていた。

 ところが、あるマネージャーの下で2、3年働いた結果、彼は立派なリーダーとなって皆を率いるようになった。本人曰く、そのマネージャーが背中であるべき姿を見せてくれたとのことだったが、本当に人が変わったようで、目をきらきら輝かせて夢を熱く語り、周囲からの信頼も勝ち得て、仕事の成果も桁違いになっていた。

 そもそも誰かの性格が変わるのが必ずしもいいこととは限らず、だからこれは個人的な感想なのだが、それでも彼が職業人として立派に成長したことがうれしく、同時に己の不明を恥じたものだ。

 しかしこうした例は、非常に少数の例外である。だいたいの人は、変わらないし変わろうともしない。嫌な奴はずっと嫌な奴だし、幼稚な人はずっと幼稚だし、理屈っぽい人はずっと理屈っぽい。

 だが、そうした人はあなたや私にとって望ましくないかもしれないが、本人としてはそう生きたくて生きているし、そうした姿で周囲の人から愛されているだろうので、それをこちらの都合で責めたり変えさせようとしたりするのはお門違いもいいところである。

 それに私たちだって、周囲から同じように思われて生きているに違いない。それを自分の都合で誰かに変わってもらおうだなんて、自分勝手もいいところではないか。

 より良く生きたいなら、まずは自分が変わるべきだ。その方が楽だし合理的である。自分なら容易にコントロールできる、などとは口が裂けても言えないが、他人と比べてコントロールの余地があるのは確かである。

 何か気に食わなかったり不都合なことがあったりする場合や、あるいはもっと前向きに、望ましい将来に向かって1歩を踏み出したいのであれば、他人に期待するのではなく、自分から行動していくべきである。