「都会と田舎、どっちが幸せ?」→「港区育ち」ライターが5年の田舎暮らしで出した「最終結論」写真はイメージです Photo:PIXTA

都会と田舎、暮らすならどちらがいいのか。現代人が抱える永遠の課題と言っても過言ではないこの問いに絶対的な答えはないものの、定期的に比べてみたくなるのが人の常。都会出身の筆者は5年間の田舎暮らしで一体何を思ったのか。(フリーライター 武藤弘樹)

土を拾って我が物にする
ざっくばらんな土地柄

 幼少期から長年過ごした港区を離れ、都心近郊の片田舎に引越して5年を過ごした。そして今月の4月からまた港区に帰ってきて生活を始めて、改めて都会と田舎の違いに驚いている。

 移り住んだ当初の驚きはこの連載で何度か書かせてもらったが、数年住んだあとだからこその我が内の変化も見えてきたりして、「都会→田舎暮らし」の実態を伝えるひとつのサンプルとして、本記事はなかなか有益なのではないかと思う。

 内容はあちらにこちらにと少々散らかってしまうかもしれないが、気づいたことをいくつか挙げていきたい。

 まず、田舎は虫が多い。海と同じくらい生命の源たる土は、都会には人工的にしか用意されていないが、田舎は天然の土だらけである。

 私が住んでいた地域は土ぼこりがすごくて、強風の翌日には道路に土が堆積して車のタイヤが埋まるほどだったが、そうした時にはどこからともなくショベルカーが出てきて雪かきならぬ「土かき」を始め、夕方には路面がすっかりキレイになっていた。

「行政か近所の有志か知らぬが、ありがたやありがたや」と感謝していたら、ちょうどその裏にある、砂利などを扱う建設会社の敷地内に新たな土の山ができているのを発見し、横を見ると見覚えのあるショベルカーも鎮座していて、土かきついでに野良の土(所有者の定かでない土)を我が物にしたというか、野良土を我が物にする過程で勝手に土かきが達成されたというか、そういう一昔前のざっくばらんさが通用する程度の田舎である。