「男だらけ。ビンタだらけ」嵩（北村匠海）の前に現れた“再会”…その声が別人のようだった【あんぱん第51回レビュー】

出てきたビンタは何回？
「ほっこり」が人気の昨今、敢えてつらい戦争描写

　健太郎（高橋文哉）だった。

　だが、あんなに明るかった健太郎の様子がおかしい。声がとても低いのだ。

「どうしたちゃったんだよ」健太郎……。

　朝からこんな暴力的な場面ばかりは、雨よりいやと思う視聴者もいるかもしれない。

　昨今の視聴者は怒声や暴力などしんどい描写を好まない。NHKでいま人気なのは『幸せは食べて寝て待て』のようなほっこりしたものだ。民放だったら『波うららかに、めおと日和』（フジテレビ）が人気である。『あんぱん』と同じくらいの時代を描いているが、ヒロインと軍人の夫のほのぼの夫婦生活がやっぱりほっこりすると好評なのだ。

　そんななか、あえての戦時中のスパルタ描写は、戦争になるとこういうことが起こるのだと、知らない若い世代に伝えたいのかもしれない。実際、海の向こうでは、こんなこと、いや、もっと酷いことが日々起こっているのだから。

　軍帽を「賢くも天皇陛下を貸与いただいた戦闘帽であるぞ」と天皇陛下から貸与され、それをとても大事にしているという認識であるセリフも興味深かった。