ChatGPTを公開されてから約2年半が経つ。登場当初の「会話ができるAI」という驚きは、「業務を担うAI」へと改められ、文書やプログラムの作成、データ解析、意思決定支援など、多様な業務に活用されている。もはやAI技術の活用が、企業の競争力と持続的な成長に不可欠であることは自明である。

とりわけ注視すべきは、AI技術の革新が加速度的に進んでいる点だ。すでに現代版産業革命の只中におり、ここ数年ほどの間に、先行企業と様子見を決め込んだ企業との間で、埋めがたい差が生まれる可能性が高い。ホワイトカラーの仕事や求められるスキルセットも、今後大きく塗り替えられていくはずだ。

書籍『GPT時代の企業革新』では、こうした現場をふまえて、Ridgelinez株式会社の野村昌弘氏を中心とする執筆陣が、GPTをはじめとするAI技術の進展および企業への導入にあたり、人の役割や組織形態、ビジネスモデル、経営戦略をどのように変革していくかについて詳述している。

本連載の第3回では、AIの進化に不可欠であり、イノベーションのカギともなる新たなデータマネジメントについて読み解く。
 

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データマネジメント範囲の拡張

 AIの進化によって、データの価値は飛躍的に高まっている。企業活動から生まれるあらゆるデータがAIによって解釈・活用される時代が始まっている。データはもはや業務の副産物ではない。企業にとって経営資源そのものであり、競争力の源泉となる。

 企業活動そのものがデータであると定義すると、企業の営みは「データの生成と蓄積の連鎖」と捉えることができる。見方を変えれば、データは企業の個性を示すものであり、独自の価値を持つ。その重要な資産であるデータを、いかに収集・蓄積し、適切にマネジメントするかが、競争優位を勝ち取る鍵となる。

 企業内には、発注・生産指示・出荷高・売上など、基幹業務システム(ERP等)によって記録・管理されるデータ以外に、日々の会話、議事録、個人メモ、業務チャットといった、従来のデータマネジメントの枠を超える非構造データが膨大に存在する。現在、多くの企業では、こうした曖昧なやりとりを含む環境データや行動データは付随的な情報と見なされ、十分に収集・活用されていない。

 しかし、AIが高度な学習効果を発揮するには、人がどのような「環境(状況・背景)」で、どのような「行動(意思決定)」をとり、どのような「結果」を得たのかを、一連のつながりとして把握することが重要だ。従来のデータマネジメント範囲を拡張した、データマネジメントのアップデートが必要となる。

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