だとすれば、なにより「ゼミ」や「研究室」に所属したタイミングで、担当教員に話しかけない手はありません。少人数かつ研究活動を軸にした集団であれば、教員に研究の相談をし、コメントをもらうということもしやすくなるでしょう。

「それぐらいであればできそうだ」と思う読者の方も少なくないように思います。

学部の低学年のときから
積極的に教員に話しかけよう

 しかし、ここで急ぎ強調したいことが2つあります。

 1つは、実態として、ゼミや研究室の教員に日常的に話しかける学生がそれほど多くないという点です。

 もう1つは、ゼミや研究室に所属する前のことも意識してほしいという点です。学部の低学年のときから積極的にアクションを起こしてほしいーこれが本稿で特に伝えたい点です。

 答えのない問いや複雑な社会事象に対して、データを読み解き、検討を重ね、自分なりの答えを見つけ出すことは非常に難しく、一朝一夕でできるものではないからです。

 ゼミや研究室の教員に話しかけることにさえ躊躇する学生がいるなかで、学部低学年から教員に話しかけるというのは、高いハードルに思えるかもしれません。

「教員の研究のことを聞かなくてはいけないのではないか?」「しっかり勉強していかないと、嫌な顔をされるのではないか?」と思い切れない人もいるでしょう。しかし、これは杞憂(きゆう)ともいえます。

 もちろん、大学教員は、自分の専門のこと、これまで書いた論文や書籍のことについて質問されれば、喜んで答えると思います。ただ、知っておいてほしいのは、大学教員は、自分の専門、論文、書籍以外の質問にも対応できるという点です。

 大学教員の仕事は、なにも「自分の専門を突き詰める」ことだけではないからです。

 大学教員といえば、自らのテーマに精通している専門家ーそのように捉えられることが多いでしょう。それは、間違いではありません。アカデミアの世界で自身の関心や問いを突き詰める経験を積み、そしてその成果を学会発表、論文、書籍、特許として形にしているのが大学教員です。