今もテレビや新聞は「農政トライアングル」やら農水利権だと大騒ぎをして、これまでの農政を失政だなんだと叩いている。
しかし、そういう威勢のいいことを言っている新聞社が実は軽減税率、テレビ局は「放送免許」による寡占など国家権力からゴリゴリに恩恵を受けているというのは、もはや多くの国民が知っている。
さらに、YouTuberやSNSを「デマ」「情報が偏っている」と批判しているわりに、ジャニーズ問題などのときも問題視された「記者クラブ」に対する自己批判はほとんどない。
国際NGO「国境なき記者団」が発表した2025年版「世界報道自由度ランキング」では日本は66位。G7中最下位で、戦時下で報道規制がなされるウクライナ(62位)よりも低い。
なぜこんなに低いのかというと、要因のひとつとして「国境なき記者団」があげているのは「記者クラブ」である。かつて国連特別報告者のデビッド・ケイ氏が指摘したように、閉鎖されたムラ社会の中で、情報源に過度に依存する「アクセスジャーナリズム」の温床になるからだ。
ただ、こういう話はマスコミはサラッとしか報じない。そういう自分たちに都合の悪い「利権」を温存している人々が、やれ自民の利権がけしからん、農政トライアングルが問題だとか御託を並べても説得力を感じない、という人はかなりいるはずだ。
石破首相の発言を切り取って大騒ぎをしているヒマがあるのなら、ほんの少しでも我が身を省みるべきではないのか。
(ノンフィクションライター 窪田順生)
