銀行や証券に「スーパー金融マン」が必要だ!発足15年の三菱UFJモルスタ証券社長が求める“理想の人材”とは?Photo by Yoshihisa Wada

三菱UFJフィナンシャル・グループと米モルガン・スタンレーの戦略的資本提携で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)とモルガン・スタンレーMUFG証券(MSMS)が発足し、今年で15年になる。提携交渉に関わったMUMSSの小林真社長が取材に応じ、個人の資産運用などウェルスマネジメント分野の提携を今後強化する方針を明らかにした。また、証券や銀行業界に「スーパー金融マン」が必要だとする持論も語った。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

アライアンスで投資銀行業務を強化
次の柱は個人向け資産運用ビジネス

――三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)とモルガン・スタンレーMUFG証券(MSMS)が発足し、今年で15年になります。米モルガン・スタンレーとの提携は想定通りの成果を挙げているのでしょうか。

 われわれは提携当時に「アライアンス1.0」と呼んでいましたが、投資銀行部門において、モルガン・スタンレーのグローバルな知見を日本国内の業務にも取り入れることが主な狙いでした。

 具体的にはモルガン・スタンレーの人材がうちに来て、投資銀行業務を推進してもらった。M&Aアドバイザリーでその強みが表れ、昨年でいえば、日本生命保険さんや積水ハウスさんの米系企業買収など大型のクロスボーダー案件に関わり、トップポジションを獲得できている。これは市場から信頼を得られた証しで、当初狙っていた通りのことが実現できていると思います。

 最近は「アライアンス2.0」と称し、日本株の機関投資家向けビジネスやリサーチセクションをMSMSに移管しました。新しい領域でも提携を深化させ、より高みを目指したい。

――個人の資産運用などウェルスマネジメント分野はどのような提携を進めていくのでしょうか。

 現在、モルガン・スタンレーの研修プログラムを導入しています。モルガン・スタンレーは本国で投資銀行や市場部門だけでなく、ウェルスマネジメントを収益の柱に育てています。

 米国のモデルがそのまま使えるとは思いませんが、使える部分は活用し、4月には米ドル建てのラップサービスの募集を開始しました。今後もモルガン・スタンレーの知見をどんどん取り入れ、ウェルスマネジメント分野の提携をさらに深化させていく。

――この15年間で提携が進んだ投資銀行に対し、ウェルスマネジメントはなぜ進んでいないのですか。

ウェルスマネジメントとは、資産運用のアドバイスやポードフォリオの構築、相続や税務対策なども手掛ける、富裕層や高所得者向けの資産管理サービスだ。小林社長は、そのウェルスマネジメントを今後の注力領域に掲げる。その狙いや勝算について次ページで明らかにする。