小林真・三菱UFJモルガン・スタンレー証券新社長Photo by Masato Kato

米モルガン・スタンレーと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の提携で2010年に発足した三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社長に4月、就任した小林真氏。MUFGが08年にモルスタへの出資を決めた翌年、提携交渉のヘッドを務めた人物でもある。大荒れの市況の中での船出となったが、マーケットの先行きと今後の戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

市場はこれから「頭は重いが底抜けもしない」
DX、EV関連など明るい材料もある

――年明け以降、米国の利上げ観測とロシアによるウクライナ侵攻で、米国株を中心に株価が下落し、不安定な値動きが続いています。大荒れの市況の中での社長就任となりましたが、今後の市場の見通しを教えてください。

 当社の株式市場への見通しである「ハウスビュー」を公表していますが、一言でいうと、「頭は重いが、底抜けもしない」ということになると思います。

 ウクライナのような地政学リスクや米国の利上げといった問題がある中、新型コロナウイルスの感染状況はかなり収束し、良い方向に向かっています。しかし、欧米を中心にインフレが進んでおり、エネルギーや原材料価格の高騰という問題も出てきました。製品やサービスへの価格転嫁の難しさが、企業業績に不安を与えています。

 物価の上昇局面ですので、企業が(製品などの)価格を上げても上げても追いつかないという状況が考えられます。今年は他の年と比べても、上値が重いという印象です。

 ただ一方で、EV(電気自動車)、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の半導体などへの需要は高く、将来に向けた明るい材料もあります。経済自体は底堅く推移するでしょう。私も社長就任の折、マーケットには明るい展望を持っていきたい。