市場で会った岩男(濱尾ノリタカ)は
すっかり変わっていた
この話を聞かれそうになって、健太郎は言動を変えてごまかす。嵩も同じく。こうやって表面上は軍に従っているふうにしなくては生き残れない。高橋文哉と北村匠海は声や身体を変化させるのが実に巧い。
嵩が口を利いて健太郎も宣撫班に入った。これで味方ができた。
再び、市場に行くと、岩男(濱尾ノリタカ)が中国の少年・リンと仲良くしていて、まるで父子のような仲睦まじさに、嵩の心は動いた。岩男はいつの間にか結婚し子どももできていた。あんなに蘭子(河合優実)に対して積極的だったのに。戦争に行く前に結婚しようと思ったのかもしれない。
ただし、戦場に出てから子どもが生まれまだ対面していない。だからこそリンが子どもの代わりのように思えるようだ。彼が変わったと感じる嵩。日本にいた頃は、頼りなさそうだった岩男がすっかり落ち着いたやさしい人物になっていた。こういう変化は好ましい。
嵩は父・清(二宮和也)の手帳にあった「東亜の存立と日支友好は双生の関係である」という言葉もヒントにして紙芝居を作りあげた。タイトルは「双子の島」。
でも、まずは審査に通らないといけない。はたして「地元民から反感を買わず、老若男女が喜ぶ」ものができただろうか。
やなせたかしが実際に作った紙芝居は「双子ものがたり」。日本と中国を双子のきょうだいに見立てた物語だったという。
