北海道新幹線の工期延長により
26~28年度の事業費は年間3700億円に
では、地元の理解を得て、B/Cもクリアすれば順調に進むかというと、残念ながら現在の財源スキームではかなり困難だ。北海道新幹線とあわせて事業費と財源の関係を見ていこう。
北海道新幹線新函館北斗~札幌間延伸工事は2012年に着工し、当初は2035年度の開業を予定していたが、2015年の政府・与党申し合わせで開業予定を5年前倒しした。ところが国の有識者会議は今年3月、一部のトンネル工事が難航しているとして、開業見通しを2038年度に延期、さらに数年単位で遅れる可能性があるとの報告書を発表した。
報告書は工事の全体像が見えていないとして事業費の見通しは明らかにしなかったが、物価・人件費の上昇、工期延長による増大は避けられない。
2024年3月開業の北陸新幹線金沢~敦賀間の事業費が着工時の約1.1兆円から最終的に1.6兆円に膨れ上がった事例をふまえ、約2.3兆円から約3.4兆円へ1.5倍になると仮定しよう。2025年度までに約1.1兆円が投じられているため、残りは2.3兆円。2038年度までの13年間の平均を求めると約1800億円が必要になる。
北陸新幹線敦賀~新大阪間はどうか。本命とされる「南北ルート案」の概算事業費3.9兆円をベースに、2026年度に最短で着工し2050年度開業(工期25年)とすると、年平均は約1950億円だ。つまり、2つの工事が並行する2026年度から2028年度は計約3700億円、2039年度から2050年度は1950億円となる。

次に財源を見ていこう。最初に整備新幹線の財源スキームを確認しておくと、事業費からJRが支払う30年分の貸付料を差し引いた上で、国が3分の2、地方が3分の1を負担する。貸付料は新幹線の開業によって生じるJRの受益の範囲内で設定され、30年間定額で支払われる。