「もったいない」を手放したら、本当の自分に戻れた
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で幸せを呼び込む言葉』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

【精神科医が教える】良かれと思ってやっているのに…自己肯定感を下げる人の共通点Photo: Adobe Stock

親から引き継いだ会社を経営していたけれど……

今日は、「自分にとって、何がもったいないのか」というお話をしたいと思います。

たとえば、ある人が親から受け継いだ会社を経営していたとします。その会社はうまくいっていて売上高も大きく、利益も出ていて、まさに成功している状態です。

でも、実はその経営者本人は、経営という仕事が大嫌い。トラブルが起きたらすべて自分の責任になりますし、人を雇って運営していくというのは本当に大変なことです。

日々、さまざまな問題が起こり、ニュースが飛び込んできて、気が休まらない。そんな毎日を送っているかもしれません。

成功していても、自分にとっては「望まない人生」

もちろん、経営の才能がまったくないわけではないし、うまくいっているのは事実です。でも、自分の心の中では、「本当はやりたくないことを続けている」と感じているのです。

人生には限りがあります。その限られた時間の中で、「本当はやりたいこと」があるのに、今の仕事のせいでそれができないのであれば、たとえ成功している会社だったとしても、それは「自分にとって価値のないこと」になってしまうのです。

「もったいない」という言葉のワナ

もしその会社を手放す決断をしたとしたら、周囲の人たちは必ずこう言うでしょう。「もったいない」と。

でも、その「もったいない」が本当にそうなのか、一番よく知っているのは、自分自身です。

人生が80年だと仮定したとき、いまの自分にとって一刻も早くやりたいことがあるのに、それが叶わないまま時間が過ぎていくとしたら――それこそが、本当の「もったいない」ではないでしょうか。

自分にとっての「幸せ」を選ぶ勇気を

もちろん、やめるべきかどうかは、誰かに言われて決めるものではなく、自分自身で考えるべきことです。ただ、「やめるべきだ」と思ったときには、勇気を出してやめてみるのもひとつの選択です。

うまくいっている会社を手放すのは、簡単なことではありません。「こんな会社は二度とつくれない」と思う気持ちもわかります。でも、時間は有限であり、自分の人生には限りがあります

どれだけ成功していても、どれだけ富をもたらしてくれる会社でも、それをあの世に持っていくことはできません。だからこそ、その「限られた時間」に何を選ぶかが、何よりも大切なのです。

「本当のもったいない」を問い直す

多くの人が、「もったいないから」と言われるがままに、本当は望まないことを続けています。でも心のどこかでは、「このままでいいのかな?」と問いかけているのです。

だからこそ、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。「自分にとって、本当の『もったいない』とは何だろう?」

それを問いかけることが、納得のいく人生を選ぶ第一歩になるのではないでしょうか。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。