子どもの受験がきっかけで夫婦喧嘩が増えてしまった共働き家庭――原因は、家が散らかっていることでした。勉強に集中できない環境に子どもはストレスを感じ、家事負担を押し付け合う夫婦の仲は険悪そのもの。まさに家庭の大ピンチですが、どうしたら解決できるのでしょうか？間取り図と写真を紹介しながら、忙しくても無理なく整う、住まいづくりと片づけのヒントを紹介します。（一級建築士／模様替えアドバイザー 志鎌のり子）
都内3LDKマンションに住むAさん一家の苦悩
受験勉強に集中できない！夫婦ゲンカが止まらない！
Aさん一家は、都内の築40年3LDKのマンションに暮らす共働き家庭です。小学校4年生の長男が中学受験の勉強を始めたものの、デスクやダイニングテーブル、リビングのソファ周りには日用品や郵便物、小学1年生になった長女の分も含めた書類やプリントが山積み。本棚やおもちゃ入れは幼稚園時代からのままで、部屋全体が雑然としている状況でした。
「家が散らかっているのはおまえのせい」「私ばかりが片づけている」など、夫婦が不満をぶつけ合う日々。長男にとっては、家の空気が張り詰めているうえ、落ち着いて勉強する場所もない――このままでは受験どころじゃないと感じたAさん夫婦は、まずは住まいを整えることから始めようと、当事務所を訪れました。
筆者がAさん宅の間取りや家具配置、生活動線や家事分担などの実態を細かくヒアリングすると、大きく二つの課題が分かりました。
第一課題が、長男の勉強スペース。リビングには小学校入学時に購入したデスク（1）がありますが、すぐ隣に長女の遊び場（2）があるので勉強に集中できません。リビングのローテーブル（3）でも勉強しますが、テレビが気になり落ち着きません。最終的にはダイニングテーブル（4）で勉強するものの、食べ物が散らかっていてテキストが汚れやすくイライラしがち。落ち着いて勉強に集中できる場所が、どこにもありませんでした。
第二課題は、収納が少なく、モノの置き場所が決まっておらず部屋が荒れ放題なこと。買い足した収納（5）はあるものの、学用品やプリント類など、小学生の子どもが2人いる家庭にしては収納量が不足していました。
そこで理想的な部屋にするために、4つの解決策を軸にご提案しました。
