6000軒を片づけた家政婦が教える、モノを捨てて減らす「だけじゃない」片づけ方部屋が片づかない本当の原因は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

片づけ問題を「一点突破」で考えるのは
危ういギャンブルのようなもの

 どこから手をつけていいか迷う、捨てるかどうか葛藤する、片づけを終わらせる自信がなくなって途方に暮れる――どれも、片づけの作業中によくある展開です。手が止まると、「きっとキッチンじゃなくて本棚からやればよかったんだ」などと余計なことを考え始める人もいます。目の前のことに集中できなくなる、“迷走”の始まりです。

 こういう状態に陥ってしまうのはなぜか…? それはズバリ、「片づかない本当の原因がわからないまま、片づけをスタートさせてしまう」から。私は、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』という本で、「片づけがうまくいかないのは、5つの“めんどくさい”のせい」と述べています。

 片づかない原因は、一つではありません。むしろ、複数の要因が絡まっているから片付かないのです。それなのに、「モノが多い」以外の原因を認識していない人やご家庭がほとんど。そのため、片づけが「もっとモノを減らさなくてはいけない」→「捨てるか捨てないか究極の選択に迫られる作業」になっているのです。これでは、ほんの少しでも迷いが生まれると思考停止してしまうのも当然ですよね。

 こうした現象の背景には、ミニマリスト(必要最低限のモノで生活する人・ライフスタイル)がすっかり定着したこともあるでしょう。あるいはSNSを見ると、モノが少なく生活感が抑えられた家庭の様子やステキな収納写真があふれている影響もあるでしょう。

 しかし、そもそも、ミニマル志向が正義ではありません。モノ持ち志向の人がいたっていいのです。そして、両者では、片付けでクリアすべき課題が異なります。

「とにかくモノを捨てて減らす」の一点突破で問題解決を図るのは、ギャンブルすぎます。アプローチを増やして、「自分を追い詰めない片づけ方」に変えましょう。

 今回は片づけの3大課題「捨てる・捨てない問題」「部屋のゴチャつきストレス」「習慣化できずリバウンド」について、それぞれの原因と具体的なアプローチを解説していきます。