
家は変えられない。でも、年頃の子ども3人に“自分だけのスペース”を確保してあげたい――。そんな家族の悩みを解決するため、家具の配置と部屋割りを変更することで、狭い家でも健やかに暮らす方法を紹介します。(一級建築士/模様替えアドバイザー 志鎌のり子)
狭い2LDKで中1長男に異変……
年頃の子3人に個室を!劇的ビフォーアフター
「高校生の長女には個室が必要。でも2LDKのわが家では、残り1部屋で夫婦と中学生の長男、小学生の次女が一緒に寝るしかない。どうしよう……」
都心の2LDKマンションに暮らすAさん夫婦は、自宅の「部屋数不足」に対して、漠然とした不安を抱いていました。けれど、家賃や立地、生活の利便性を考えると、そう簡単に引っ越せるわけではありません。
そんなとき、長男の保護者面談で、担任の先生から思いがけない言葉が――。
「○○くんは最近、元気がないみたいです……。おうちで落ち着ける“自分のスペース”はありますか?」
このひとことをきっかけにAさんは、自宅を見直す決意をします。
というのも長男は、リビングの共用デスクで宿題や勉強をしていました。寝るときは両親と妹と雑魚寝状態で、夜も朝も休日も、常に家族の誰かと一緒でした。
学校でも家でも、自分ひとりになれる空間と時間がないことから、精神的に疲弊していたのかもしれません。担任の先生の問いかけは、そうした「心のサイン」に気づいてあげてという意味でした。
家が狭いから仕方ないと思っていたAさんご夫婦でしたが、長男の異変をきっかけに当事務所に相談に来られました。そこで、「部屋割り」と「家具の配置」を見直すことで、限られた空間を家族それぞれの居場所に分ける方法を提案しました。