「何者かになりたい病」にハマる人が陥る“ワナ”
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【精神科医が警告】頑張ってるのに満たされない…「何者かになりたい人」が見落とすたった一つのことPhoto: Adobe Stock

何者かになりたい病

今日は「何者かになりたい病」というテーマで、お話ししたいと思います。

ときどき、「自分も何者かになりたい」「どこかの“一門”に属していたい」といったような気持ちが、ふと湧き上がってくることはありませんか?

そうした気持ちを「自己顕示欲」と捉える人がいらっしゃるかもしれません。しかし、私は少し違う見方をしています。

「何者かになりたい」は、ただの自己顕示欲ではない

もちろん、そうした欲が空回りしてしまうと、結果的に自己顕示欲のように見えることもあります。しかし、その本質はもう少し別のところにあるのではないかと感じています。

私自身も、「何者かになりたい」と思ったことはありました。今取り組んでいることがうまくいっているときでも、「本当にこれでいいのかな?」と考えてしまうことはあります。

頻度は減ってきましたが、ふとしたときにそんな気持ちがよみがえることがあるのです。

頭がヒマになると執着が顔を出す

こうしたとき、だいたい共通しているのが、「頭がヒマになっている」ということです。

やるべきこと夢中になれることがあれば、「何者かになりたい」なんて考えません。つまり、この欲求は“執着”の一つなんです。

そして、この執着を手放していくことが大切です。

「今」に集中することが、何者かへの近道

そもそも、「何者かになる」というのは、結果論でしかありません。

大切なのは、「今の自分に集中して、やりたいことを積み重ねていくこと」。そのプロセスの先に、“何者かになっている自分”があるのです。

逆に、「何者かになろう」と先回りして行動してしまうと、だいたい空回りしてしまいます。そして、「まだ何者かになれていない」という焦りが生まれ、さらに執着が強くなり、ネガティブなスパイラルに陥ってしまいます。

欲求を否定せず、「今」を楽しむ

「何者かになりたい」という気持ちは、否定しなくていいと思います。でも、そのことばかり考えていると、だんだん楽しくなくなってしまいますよね。

だからこそ、まずは「今を楽しんでいない自分」に気づいて、意識を「今」に戻してあげることが大切です。

何者かにならなくても、あなたはもう“あなた”

そして、何より伝えたいのは、「何者かにならなくても大丈夫」ということです。あなたは、あなた自身であるというだけで、もう十分に価値がある存在です。

それ以上の何かになろうとする気持ちは、ときに執着となって、あなた自身を苦しめてしまうこともあります。

特に若いときには、「何者かになりたい」と思うことが多いかもしれません。そんなときには、「今を楽しめていないな」と気づき、気持ちを少し切り替えてみると、心が軽くなるかもしれません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。