王さんも動き出した日本球界の復活策
今こそ議論すべき「最大の壁」の正体
ここにきて、ミスターのライバルだった王貞治さんを中心に、16球団エクスパンションの計画もぶち上げられました。そのために、王さんをトップとする球心会が旗振り役となり、「BEYOND OH!PROJECT」という組織作りも始まっています。
球団数の増加によるメリットは相当大きいと計算されています。まず、王会長の語る底辺の拡大。4球団が増えれば、約250人超の選手が新たにプロ野球選手になれます。若いアマチュア選手にとって夢が広がることになり、門戸が広がって、野球人口の減少に歯止めをかけることが期待できます。また現在、プロ野球球団のない地域の子どもたちがプロ野球に触れる機会を与えられるようになり、野球の裾野を広げることにも繋がります。
地域経済の活性化にも寄与するでしょう。2005年に仙台を本拠地として発足した楽天のように、地元が一体となって応援する効果は大きいです。ホームゲームの際には相手チームのファンが仙台を訪れ、宿泊施設に泊まり、そして飲食店にお金を落とす。毎年ホームゲームが70試合以上あることを考えれば、その経済効果は相当なものです。
北海道日本ハムの新球場エスコンフィールドも、当初は経済効果が疑問視されたものの、今やただの野球場ではなく、ゲームやグルメも愉しめる文字通りのボールパークとして機能し始めました。
参加する球団が増えると、スポ.ンサーを増やす効果もあります。地元の企業や、今まで社会人野球チームとして野球を続けていた企業が、そのままプロ野球に進出してくる可能性もあります。実際今年から、独立リーグではなくプロ野球の2軍に所属する球団として発足した、くふうハヤテベンチャーズ静岡とオイシックス新潟の2球団が存在します。そのうち静岡のチームは、イースタンリーグ(2軍リーグ)で最下位のヤクルトの上にいるのだから、近い将来、プロの1軍に入ることも大いに期待できます。
なぜメディアは、こうした明るい未来への展望を、ミスターの死去という一つの時代の区切りと共に真剣に検証しないのでしょうか。巨人がいまだに球界の盟主として君臨している限り、こうした構想は成り立ちにくいのかもしれません。セ・リーグでは、いまだに巨人に従う球団が多いからです。