ストレスに効くと言われる方法を試しても、うまくいかない。頑張ろうと思っても、心がついてこない。ストレスに負けてしまいがちな人におすすめしたいのが『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』（ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳）だ。著者はUCLAの准教授で認知行動療法の専門家。本書では、効果が実証されたさまざまな手法をベースに、自分に合うストレス対処法が必ず見つかるよう設計されている。「心がしんどいときにすぐに実践できる本」「お守りのような1冊」など多くの読者から支持されている。本書の発売を記念して、精神科医で禅僧の川野泰周氏にインタビューを行い、本書の魅力と現代人が取り入れるべきストレス対処法について話を聞いた。（取材・構成／ダイヤモンド社・林えり、文／照宮遼子）
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どうすれば気分がラクになるかは人によって異なる。自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切
――『瞬間ストレスリセット』を読んで、どんな印象を持ちましたか？
川野泰周（以下、川野）：まず、著者のジェニファー・タイツ先生の姿勢にとても共感しました。困っている人の力になれるのなら、手法にはこだわらず、あらゆる心理療法を柔軟に取り入れる。その誠実でしなやかな姿勢が本当に素晴らしいですね。
『瞬間ストレスリセット』には、数々の心理療法のエッセンスが盛り込まれています。さらに、すべてエビデンスをベースに書かれていて、とても信頼できる1冊だと思います。
――ストレスに対処する方法は、1つだけでなく、複数持っていることが大事ですよね。
川野：本当にそう思います。たとえば1つの手法、マインドフルネスがうまくできないだけで、「自分はストレスをコントロールできない」と思い込んでしまうのはとてももったいないことです。
この本では75もの手法が紹介されていて、読めば誰でも必ず自分に合った方法に出合える。そんな、ふるい落とされる人がいない構成なんです。それがとても大きな魅力ですね。
今ストレスを感じていない人でも、“ストレスケア本”を読むべき理由
――本書は、どんな方にすすめたいですか？
川野：これはもう、今を生きるすべての人におすすめしたいと思います。それくらい、幅広い悩みに対応できる本です。
現代において、ストレスがまったくない人は、おそらくいません。自覚がなくても、ストレスって知らないうちに蓄積していますからね。
――ストレスがあっても、気づけていない人って多いですよね。
川野：そうなんです。たとえば、ある日突然、頭痛や胃の不調として現れることもあります。
だから「ストレスがないから、ストレスケアの本は読まなくていい」ではなくて、「試しに読んでみたら、自分が疲れていることに気づいた」という感覚を得られる人も多いのではないでしょうか。
