「5年後どうしたいの?」は抽象度が高く、未来に向けられている非常に難易度の高い問いかけだとわかります。抽象度が高い、あるいは未来に向けた問いを投げかけるときは、細かくベイビーステップを刻んでいくことで相手の答えづらさを減らす工夫が必要です。

考えやすさ、話しやすさを促す
「思・考・感」のアプローチ

 工夫の一つに、「思・考・感」(しこうかん)というアプローチがあります。思い出せば考えられること、少し考えると答えられること、自分の内面に目を向けて自分が感じていることを自己認識できて初めて答えられることの三段階の順に考えていく方法です。例えば、先ほどの5年後のキャリアについてであれば、以下のような形です。

「思」い出す:これまでどんな仕事をしてきたか

「考」える:一番楽しかったのはどの仕事で、それは何が楽しかったのか

「感」じる:これから先、どんな仕事をしてみたいと感じているのだろうか

 このように、過去から未来に時間が流れるように「思・考・感」のステップで問いかけると、部下の考えやすさや話しやすさは必ず向上するはずです。うまく行けば、部下が話してくれることが増えるでしょう。まずは過去を思い出してもらいながら、部下の経験や思考を一緒に整理していくつもりで部下にたくさん話してもらいましょう。