「5年後はどうなりたいの?」
徐々に抽象的になる「3つの問い」

 さらに、抽象度が高い問いかけは具体的な問いから始めて徐々に抽象度を高めるという工夫も試してみましょう。例えば、将来のキャリアについて考えるときは「DO」「HAVE」「BE」の3つのカテゴリに分けて考えてもらうことで、具体性を高めることができます。

「DO」:5年後はどんな仕事をやっていたいか?

「BE」:5年後はどんなリーダーでありたいのか?

「HAVE」:5年後はどんなスキル、知識、能力を獲得していたいのか?

 漠然と「5年後どうしたいの?」と問いかけるよりも、具体性が増して考えやすくなっていると感じるのではないでしょうか。さらに具体的で答えやすい問いにするならば、YESかNOで回答可能なクローズドクエスチョンを活用するのも手です。

・5年後も今と同じ仕事をしていたい?

・5年後は管理職になっていたいと思う?

・これから先の5年間で何か資格の取得とかは考えている?

 などは、YESかNOで回答できるので負荷が非常に低く答えやすい問いだと言えます。クローズドクエススチョンから始めて、具体性の高いオープンクェスチョンに移行し、最後に抽象度の高い未来への問いである「5年後にどうしたいんだろうね?」に到達すれば、いきなり問われるよりも考えやすいはずです。

 ここで、「悩む」と「考える」の違いについても言及しておきます。「悩む」とは、「うーん、どうしたらいいんだろう??」と、考えてもしょうがない問いを脳内で繰り返しながら同じ思考をループさせている、非常に生産性の低い状態です。一方「考える」とは、たどり着きたいゴールに向かって「上手く行っている人はどう考えるだろうか?」「お客様が大事にしていることは何だろうか?」「最大のリスクとは?」などなど、考えるための「問い」をたくさん立てられている状態のことを指します。