「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「責任は私にあります」と言われたとき、頭のいい上司はどう返す?Photo: Adobe Stock

立派に見える言葉の落とし穴

 部下や同僚がミスやトラブルの際に、「責任は私にあります」と自ら名乗り出る場面は、誠実さや覚悟を感じさせるものです。

 しかし、頭のいい上司はその言葉を無条件に評価したり、受け入れたりはしません。

 なぜなら、「責任を取る」と「責任を理解している」ことは、似て非なるものだからです。

感情的な慰めより、構造的な確認を

「そんなに自分を責めるなよ」「責任なんて感じなくていい」といった返しは、一見優しいようで、問題の本質から目をそらす行為です。

 責任を一人で抱える態度が過剰になると、周囲との連携が崩れ、組織としての健全性が損なわれてしまいます。

 責任とは、個人の感情ではなく、チームの構造で捉えるべきものなのです。

頭のいい上司はこう返す

 優れた管理職は、まず責任の「中身」を確認します。

「ありがとう。具体的に、どの部分に責任があると考えている?」
「一人で背負う前に、プロセス全体を振り返ってみよう」
「組織としての責任分担まで含めて考えてみたい」

 このように返すことで、感情的な負担を緩和しつつ、構造的に責任の所在を整理するきっかけをつくります。

「誰かのもの」ではなく「仕組みのもの」

 責任を一人で取る、という姿勢は一見美しく見えますが、再発防止や改善という視点が抜け落ちやすいという欠点があります。

 上司がすべきなのは、感情に乗ることではなく、責任がどのように発生したかをチームで再構築することです。

 責任の所在は、常に個人にあるわけではなく、制度や指示系統、業務フローの中に潜んでいる場合も多くあります。

仮面をかぶって、冷静に責任の再設計を

 上司自身が「彼に任せた自分が悪い」と感じていても、感情に流されることなく、仮面をかぶって冷静に対応することが求められます。

 謝罪よりも、構造の見直しを
 後悔よりも、次の一手を

 それが、責任という言葉を建設的な意味に変える、成熟したリーダーの姿勢です。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計170万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。