何もやる気が起きないときは、まず「体をゆるめる」

――疲れきってしまったとき、どんな方法で立て直すのがいいのでしょうか?

川野:まずおすすめしたいのは、『瞬間ストレスリセット』で紹介されている「漸進的筋弛緩法」です。

力をグッと入れてから一気に脱力する。

そのときに、「あ、こんなふうにゆるむんだ」と体感できることがすごく大事なんです。

私も診察の中でよく取り入れていますし、私が以前ラジオ番組で紹介したときも、とても好評でした。

身体がゆるんだ体験を通して、「自分は変われるかもしれない」と感じたり、「自分は思っていた以上に疲れていたんだ」と気づいたりする方が多いですね。

――ほかにおすすめはありますか?

川野:本書で紹介されている、「ボディ・スキャン」です。

これは、足のつま先から頭に向かって体の感覚を順番に感じていくマインドフルネスの手法です。

これを漸進的筋弛緩法とセットで行うことで、より深いリラクゼーションにつながる方も少なくありません。

また、これも本書で紹介されていますが、「脚を壁につけて休む」のもいいと思います。

血流が回復して、明晰な考えが出てきたり、安らげたりという効果があります。

心地よさから、回復は始まる

――自分の疲れに気づくことが、まずは大切なんですね。

川野:気づかないかぎり、対処のしようがありませんからね。だからこそ、最初にやってほしいのは自分の体に「ちょっとした心地よさ」を与えてあげることです。

マッサージを受けたり、エステに行ったり、ゆっくりお風呂に浸かってストレッチしてみたり。ほんの少しのことでいいんです。

――それだけで何かが変わるんでしょうか?

川野:そうした心地よい刺激を与えてあげるだけで、「自分は癒しを必要としていたんだ」と気づくことがあります。

抑えていた感情が少しずつゆるみ始めて、「つらかったんだな」と実感できるようになる。

その小さな気づきが、立ち止まって自分の行動や人生を振り返るきっかけになるんです。