問題発覚後に経営陣がきちんと対応をして、取締役会に諮って記者会見もしました。われわれ役員に瑕疵(かし)はありません、ということ。企業防衛というか、“経営防衛”としては成功したといえるのではないでしょうか。

 ただ一方で、中身のない会見を行ったことで、日本テレビとして失ったものもあると思います。

 やはり視聴者にとっては、中身のない、フラストレーションのたまる会見でした。説明責任を十分に果たしたとはいえない部分がある。報道を生業としている会社として、「自らの説明責任を果たせない」というのは重い十字架を背負うことになると思います。

 日本テレビの記者がこれからきわどい取材をするにしても、「でも、あなたのところは何も話さないよね」となってしまいますよね。報道の現場社員が受けるプレッシャーは大きいでしょう。

 もちろん、プライバシーが保護されなかったことによって生じ得る問題もあります。ゆえにそのバランスは難しいところではありますが、この会見で十分に説明責任を果たしたといえるのか、は問われていくことになると思います。

スポンサー大量撤退は起こらない
でもまだ安心できない

国分太一の降板会見で「フジの大失敗」を教訓にした日テレが恐れる“特大ブーメラン”の正体TOKIO解散を伝える株式会社TOKIOの公式サイト。同社も廃業予定だという

 また、今回の問題によって渦中の「ザ!鉄腕!DASH!!」の番組スポンサーは離れるかもしれないですが、現時点までの対応を踏まえると、フジテレビのようなスポンサー大量撤退の事態には陥らないでしょう。福田博之社長も会見で「日テレ社員の問題への関与はない」としており、スポンサーがCM出稿を取りやめるよう追及を受ける懸念材料はありません。

 フジテレビを反面教師に迅速に初動対応を進めた日本テレビ。しかし、これで問題が収束したと安心できるわけではありません。

 すでに週刊誌などが書いていますが、答えられないとしていた問題の詳細を報じるメディアが出てきて、事実関係や会見の内容が正しかったのかを問われる機会はあるでしょう。日本テレビは定例会見を行っていますが、追及を恐れて会見に参加できる記者を限定するなどの対応を取れば、フジテレビの二の舞になりかねません。

 まだ、第一段階をクリアしたのみ。対応の成否がわかるのは、これからだと思います。