YouTube『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』に著者出演で大反響!
忙しくしていたほうがラクだった…喪失と多忙の先にあった“うつの落とし穴”

誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

【YouTube『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』で話題沸騰!!】精神科医が明かす…うつ病を経験した私に訪れた「最初の兆候」とは?Photo: Adobe Stock

うつ病の始まりを振り返って

今日は、私自身がうつ病になったときの経験についてお話ししたいと思います。その過程を振り返ることで、「うつ病の危険な兆候」についての気づきがあるかもしれません。

私がうつ病を発症したのは、10年ほど前のことです。前年に最愛のパートナーを亡くし、その直後にクリニックを開業しました。

実はそのとき、別のクリニックも同時に運営しており、2つのクリニックを軌道に乗せるため、しゃかりきに働いていました。

多忙の中に埋もれた悲しみ

そんなとき、某テレビ局から正月番組のMC出演の依頼があったり、雑誌の取材、本の出版の話もあったりと、いくつもの仕事が重なりました。

当時は顔出しNGだったので、人形にアテレコするという少し変わった出演形式でしたが、とにかく多忙を極めていた時期でした。

私自身、深い喪失感を抱えていたこともあり、「仕事に集中しているほうがラクだ」と感じていました。少しでも手を止めると、ふとした瞬間に亡くなったパートナーとの思い出がよみがえり胸が締めつけられるからです。

仕事の終わる夜に訪れた“空白”

どれだけ日中忙しくしても、帰宅して夜9時ごろになるとやることがなくなります。

ちょうどその時間は、生前にパートナーと一緒に過ごしていた「くつろぎの時間」だったため、心の空白を感じ、とても辛かったのを覚えています。

そのため、寝る直前までなんだかんだと予定を詰め込んでいたのです。

落ち着いた頃にやってきた不調

1年ほど経って、2つのクリニックの体制が整い、ようやく落ち着き始めた頃不調が訪れました。

まるで張り詰めていた糸が切れたように、心と体に異変が現れたのです。

人は忙しい状況下では無意識に環境に適応する力があるものです。そのため、むしろ忙しい最中には症状が出にくくふと緊張がゆるんだタイミングで、一気に症状が出ることがあるのです。

「楽しい」がわからなくなった瞬間

私にとって大きな変化だったのは、「楽しさ」を感じられなくなったことです。

通っていたジムでダンスのクラスを受講して、気晴らしになっていたのですが、そんな楽しみにしていたダンスのレッスン中に突然、「これ、いったい何が楽しいんだろう?」という感覚にとらわれたのです。

無理やり体を動かしているだけのように思えて、それまで味わっていた気晴らしの楽しい感覚が一切消えてしまったのです。

睡眠障害の始まり

次に現れたのは、睡眠障害でした。どれだけ疲れていても眠れず、やむを得ずお酒の量が増えていきました。

私は寝不足だと仕事のパフォーマンスが目に見えて下がるので、「とにかく寝なければ」と思い、お酒に頼るようになってしまいました。