
リーダーが何気なく言った言葉によって、部下のモチベーションが一気に下がってしまうことがあります。上司や経営者の言葉は、自分が思っている以上に影響力があります。時には「鋭利な刃物」と化し、心を傷つける場合もあります。それを放置すれば、部下との信頼関係が崩れてしまい、仕事を上手く任せることができません。今回は、リーダーが現場でつい言ってしまいがちなNGフレーズをご紹介していきます。(メンタルチャージISC研究所代表取締役 岡本文宏)
「分からないことは質問して」の前に
新人社員に対して行うべきこと
スタッフを採用した後は、作業のやり方を説明し、トレーニングを行い、準備をしっかり行ってから現場に入れていくのが理想です。ただ、人手不足の中、最小限の人数で現場を回している場合は、じっくり教えている時間がありません。そういう現場では、新人に一通り基本的なことを教えたあとは、OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)に切り替えて、すぐに作業をさせてしまいがちです。
入社して間もない新人であれば、「分からないことは何か」が分からない状態です。そういう新人に、「分からないことがあれば質問してね!」と告げることはNGです。
また、職場が忙しく、ピリピリした空気であれば、「こんな些細なことでも質問していいのだろうか?」と新人はちゅうちょしてしまいます。個人のノルマが厳しく、ぎりぎりの状況の中で仕事をしている先輩社員の多くは、眉間にしわが寄った固い表情をして、“近寄らないでオーラ”を出しています。そうなると新人は、質問したくても、できないのが普通です。
任せられたことに、どう対応すればよいのか分からないまま、自分で判断して業務を進めるとミスが発生しやすくなります。そうならないためには、リーダーは常にスタッフから質問されやすい表情や態度を取ることを心がけなければなりません。
とは言え、新人から絶えず質問されるとストレスになりますし、自分の手が止まってしまいます。
そうならないためには、新人から質問が出ないように教育する必要があります。具体的にはOJTを行う際に、教え漏れが発生しないように、教育項目を一覧表にしたチェックリストを作成します。そして、教えた項目をチェックしながらトレーニングを進めれば、どこまで教育したのかが分かるので教え漏れを防げます。
さらに、一通り教育した後はテストをして、あやふやな箇所があれば再教育を行います。任せる前に、しっかり教育をして、教えたことのみを任せるようにしましょう。