
成功するリーダーを支える
右腕の共通点とは
「自分のコピーを作ってはいけない」
これは、私のクライアントである企業の経営者に言い続けていることです。理由は、組織の右腕と考える人物が、自分のコピーのような存在だと、多くの弊害が出てくるからです。
中小企業の経営者や管理職が集まる商工会議所で行ったセミナーで、「どんな右腕が欲しいか?」と尋ねると、参加者の7割が「自分のコピーが欲しい」と答えます。自分と同じように考え、同じように動く「もう一人の自分」がいれば、組織の運営がグンと楽になるだろうと思うのは無理のないことでしょう。
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』には、のび太の「コピー人間」が登場するエピソードがあります。最初、のび太は自分と同じようなコピー人間が生まれて助かったと感じるのですが、のび太と同じ性格なので、しばらくすると怠け癖や嫌だと感じる面が目立ってきて、最後にはお手上げになり、ドラえもんに助けてもらうというストーリーでした。
同じように、組織の中でコピー人間のような人物を右腕にすると問題が発生します。たとえば、同じような視点で物事を見て考えるので、新しいアイデアが生まれにくい、将来、問題となるようなことが見逃されがちになるなどのデメリットが多くあります。
組織のリーダーと右腕との理想の関係は、それぞれ異なる視点で周りを観察し、情報を得て、行動し、お互いの長所、短所を補いながら、組織の中で適切な役割を担う状態になることです。
経営者と異なるタイプの人物が右腕を務めて成功した例はいくつもあります。