NGフレーズを言わないための
「心のコントロール術」
スタッフの言動に対して反射的に「カッ!」となることもあるでしょう。その怒りをそのまま表に出してしまうと、パワハラと言われてしまう場合があります。
パワハラ防止法の対象が全事業者になり、パワハラに関する教育が行われている企業は増えてはいますが、相談件数に大きな変化がないのが実情です。厚生労働省の2023年の調査によれば、過去3年間のハラスメントについての相談件数のなかで、64.2%がパワハラでした。セクハラ(39.5%)、顧客からの著しい迷惑行為/カスハラ(27.9%)に比べて、相談件数が突出して多い結果になっています。
「怒りの感情」と上手に付き合い、制御することをアンガーマネジメントと言います。怒りは6~8秒程度で沈静化されると言われています。なので、怒りを感じた最初の数秒間で、自分の感情を客観的に受け止め、クールダウンすることが大切です。
具体的な対処法は、目の前で起こったことに、すぐに反応するのをやめることです。反射的に言動を取るのではなく、ほんの少しの時間でよいので心を整える時間を作ります。怒りを感じたときに、自分の感情の『ポーズボタン』を押し、怒りをコントロールするようにするのです。
人の怒りは『6秒』でピークを迎え、その後は徐々に収まると言われています。腹が立った後、6秒プラスαの時間、何も言わず、何も行動しないようにしてみてください。トイレに行くなどして、その場からいったん離れることも効果的です。クールダウンできて、少し感情が落ち着いたら、座って話をします。そのときに話すスピードは普段よりも『2~3メモリ』落とすようにしましょう。

岡本文宏 著
アンガーマネジメントにおいては「自分がどんな感情を抱いているのか」について、普段から客観視するトレーニングをすることも大切です。
具体的には、1日3回以上、自分の感情に点数をつけて記録していくことがお薦めです。例えば、とってもご機嫌な状態は10点、普通は5点、腹が立つ、辛いなどネガティブな感情を抱いたときは1点という具合です。これを『感情ログ』と呼んでいます。企業研修を行っている企業のスタッフにログを付けてもらっていますが、1年ほど続けることで自分の感情を客観視できるようになります。
アンガーマネジメントができるようになれば、むやみに怒ることがなくなり、冷静な状態を保てるようになります。それにより、人間関係も良好になるので、マネジメントが格段にやりやすくなります。部下に任せた仕事がうまくいくかどうかにおいて、「誰から任せられたのか」は重要な要素です。アンガーマネジメントにより部下と良い関係を築くことから始めることをお薦めします。