「その発言の“裏側”を見よ」バフェットが語る前にしていた驚きの行動とは?
テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになった。そして19歳のとき、4つの銘柄を買ったことが株式投資の始まりだった。バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで減った。しかしあれから70年、89歳になった今、資産は21億円以上に増え、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。

バフェットの影響力と投資の裏側
日本人投資家は、ウォーレン・バフェットが大好きですよね。あの人のすごさは認めます。
バフェットが投資の神様なら、私なんて蟻かみじんこのようなものです。
1965年にバフェットが投資会社(当時は紡績業)バークシャー・ハサウェイの経営権を握ってから50年で、同社の株価はなんと2万倍の上昇を見せています。
運用成績は21%のリターンを50年間続けていることになります。
2023年の日本株上昇とバフェット効果
2023年の日経平均の上昇にも、バフェットがひと役買っています。2023年の日経平均株価は3万3000円台に乗り、1990年以来33年ぶりの水準を回復しました。
日経新聞は毎年、正月に主要経営者20人による日経平均の年間予想を掲載していますが、そのレンジは2万2000円から3万3000円の間でした。
しかし、株価は全経営者の予想を上回りました。それには、バフェットが日本株への追加投資の意思を表明したことで、海外投資家の日本株買いが本格化したことが要因として挙げられます。
バフェットの狙いを見抜く目を持て
バフェットは以前から保有していた三菱商事や三井物産といった5大商社の株を新たに購入したことを明らかにして、「最大9.9%まで増やす可能性がある」と述べました。
これを受けて商社株の株価は上昇。追随して、そのほかの大型株の株価も上がりました。
私がほったらかしにしている大型株メインの口座は、2023年7月時点で年初来150%ほどの成績を残しました。
でも私は、バフェットの言うことは、そのまま鵜呑みにしていません。それはなぜか? 彼がファンドを経営しているからです。
彼がなぜ銘柄について語るのか。それはつまるところ、「自分の利益になるから」に尽きます。
自分が発言したことで株価が上がる。株価が上がったところで売れば、当然利益が得られるわけです。それがバフェットの狙いですよ。
みんな「自分の利益のため」に動いている
別にこれはバフェットに限った話ではありません。ファンドならみんなやっていることです。
ソフトバンクの孫正義さんも、旧村上ファンドの村上世彰さんもそう。
現に8月には、バークシャー・ハサウェイが1兆1000億円もの売り越しを行ったことが決算から明らかになりました。具体的な銘柄はわかっていません。
みんな、「いかに安く買って高く売るか」を考えています。なので、日本人はバフェットの言うことをありがたがって聞いていますが、「その裏に何かあるのか」を考えるべきですね。