受動的に情報を受け取るのではなく、自ら求めて学ぶ。そんな姿勢が、5%社員を突出した存在にしているのかもしれません。

 さらに驚くべきは、5%社員の間では、「選読」で得た知識を同僚やチームメンバーと共有することが当たり前になっているということ。

 1人の学びが、チーム全体の成長を促す。そんな知識の共有が、組織全体のパフォーマンスを押し上げているのだそうです。

「選読」は彼らにとって、単なる読書テクニック以上の意味を持っています。

 それは、情報を効率的に取り入れ、実践に活かすための戦略なのです。彼らの成功の秘訣は、いかに学び、その学びを行動に移すかにあると言えるでしょう。

 正直なところ、「選読」には抵抗を感じる人も多いかもしれません。でも、考えてみてください。すべての本を隅々まで読むことが本当に効率的でしょうか?

書影『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(越川慎司 ディスカヴァー・トゥエンティワン)『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(越川慎司 ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 限られた時間の中で、自分にとって本当に必要な情報だけを取り入れることこそが、賢明な読書家の姿勢なのかもしれません。

 もちろん、「選読」ですべてが解決するわけではありません。本を丁寧に読み込むことが必要な場面もあるでしょう。

 大切なのは、自分の目的に合わせて、読書法を柔軟に変えていくこと。時には「選読」で効率を重視し、時には「精読」で深い理解を目指す。そんな使い分けができれば、読書はもっと実りあるものになるはずです。

 5%社員の「選読」から学ぶべきは、情報に振り回されるのではなく、情報を自分のものにするための戦略を持つことの大切さです。

 彼らは本を読むことを、単なる知識の吸収ではなく、自己成長のためのツールとして捉えています。だからこそ、自分に必要な情報を的確に選び取り、実践に活かすことができるのです。