社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「積上型」はやりたいことがないほうがいい
「やりたいこと」がわからない、「目標」が見つからないと悩んでいる人は、本書で説明している「積上型」タイプである可能性が高いと思います。もしあなたが積上型であるなら、やりたいことを無理に持つ必要はありません。
例えば、「周りの人が皆、やりたいことを持っているから」という理由で、とりあえずやりたいことをひねり出すとします。しかし、それは本当の自分の願いではないため、そこに向かうための活動に充実感や喜びを感じることができません。
むしろ、「やらされている」感覚が強くなり、ストレスを感じてしまいます。そして、無理やり自分をやりたいことに集中させることで、自分の本当の興味や強みを探求することをやめてしまったり、様々な情報に触れる機会を逃したりと、自分を知ることができなくなってしまいます。
無理に作ったやりたいことを目指す過程で、自分が何を好きで、どういう人間なのかという自分らしさを見失ってしまう危険性が高いのです。
そして、心からやりたいことであれば、それに取り組む姿勢が人々の心を動かし、応援してもらえますが、嫌々やっているやりたいことからは情熱が感じられないため、応援も得られないでしょう。望んでもいないやりたいことに孤独に向き合うこととなります。
積上型の人にとって、無理に作ったやりたいことは、人生を豊かにするどころか、むしろ可能性を狭め、不満や後悔を生み出す原因となってしまいます。
「やりたいこと」がないのはポジティブなことと捉えよう
積上型の人は、可能性の大海原に漕ぎ出す探検家です。特定の目的地(目標)を定めずに旅立ちます。それは決して方向性がないわけではなく、新しい出会いや予期せぬ機会に対して常にオープンな姿勢を持ち、その思いがけない出会いによって自分の可能性を広げていきます。
積上型の人にとって、やりたいことがないことは、無限の可能性が開かれた状態です。固定された目標に縛られることなく、常に新しい興味や情熱を追求することができます。
予期せぬ機会や偶然の出会いを融合させる積上型の生き方は、一見すると回り道でも、その過程で得た多様な経験と知識を蓄積し、独自の視点と価値を生み出していきます。
つまり、積上型にとって、まずやるべき習慣は、無理に「やりたいこと」を決めようとしないこと、
そして出会いや偶然にオープンになり、日々の経験を積み重ねていくことです。
この柔軟性ある生き方は、急速に変化する現代社会において大きな武器となります。積上型の人は、この可能性をフル活用して、自分だけの独自の道を切り開いていくことができます。
とはいえ、自分が「積上型」だとわかっても、今、やりたいことがない人にとって、何を道しるべに歩めば充実した人生だと思えるようになるのかわからないですよね。どうやったら、自分の前に進むべき道が見えてくるのでしょうか?
本書の第3章以降では「やりたいこと」がない人が人生に迷わないための具体的なステップを紹介していきます。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。