「今夜はあまり寝られないというのが悪いニュース。いいニュースは…」名門大出身の元海兵隊員が釈明を拒んだ【衝撃の言葉】写真はイメージです Photo:PIXTA

アメリカ海兵隊に入隊した筆者は、2001年9月11日の同時多発テロ事件を機に、テロ組織・アルカイダと戦うためアフガニスタンに派兵、続くイラク戦争も経験した。そんな彼が、26歳で海兵隊を去った理由と葛藤を語る。戦場の体験は、人にどのような影響を及ぼすのか?※本稿は、ナサニエル・フィック著、岡本麻左子訳『死線をゆく アフガニスタン、イラクで部下を守り抜いた米海兵隊のリーダーシップ』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

海兵隊を去らねばならないと
イラク戦争のあとに確信した

 小隊長になって3年、わたしは大尉に昇進し、基本偵察コースの指揮官に選ばれた。海兵隊では作戦指揮官のポストに限りがあるため、戦闘展開に二度派遣されたわたしがすぐにアフガニスタンやイラクへ戻ることはなく、事務仕事に就くことは決まっている。

 1998年に士官候補生学校に入学した時は、海兵隊員の道を進もうと思っていた。アフガニスタンのあともまだそう思っていたが、ほんの少しだけ可能性が低くなった。イラクのあとは確信があった。わたしは海兵隊を去らなくてはいけない。

 まわりの人たちの大半は、辞めるのがわたしにとって自然な選択であるかのような態度をとった。海兵隊に任官した時、友人や親戚からは“こないだ話した時はダートマス(編集部注/アイビー・リーグの一角を占めるアメリカ北東部の名門大学)の学生だったのに、一体何があったんだ?”とか、“海兵隊は給料がいいの?”などと訊かれた。ある知人はわたしの両親を慰めなくてはと思ったのだろう、“がっかりなさったでしょうね”と言っていた。