ただし、うつ病の場合も自律神経に異常が見られます。うつ病の患者さんの自律神経を測定すると、副交感神経が圧倒的に高く、交感神経がほとんど働いていないことがほとんど。アクセルが機能せず、ブレーキだけが効いている状態なので、気分が落ち込み無気力になるのは当然です。
もう一つ混同しやすい病に「パニック障害」があります。こちらは副交感神経が働かず、交感神経が極端に高くなります。つまり、ブレーキが効かずアクセル全開という状態。いずれにしても、うつ病もパニック障害も自律神経に問題あり。ですから、自律神経が乱れた状態が続くと、うつ病などの心の病に発展しかねないということです。
朝起きられない
起立性調節障害とは
最近、耳にすることが増えた「起立性調節障害」という病。「朝起きられない」というものが代表的な症状としてあります。そのほかの主な症状は多岐にわたり、立ちくらみ、めまい、不眠、動悸、息切れ、食欲不振、倦怠感など。成長段階にある思春期前後の子どもによく見られる病気ですが、大人でも発症する可能性があります。
実は、この病気も自律神経が関係しています。交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで自律神経の機能が低下し、血流が脳や体に行き渡らなくなることで発症します。特に子どもの場合は、午前中に交感神経が働かず、起立時のめまいやふらつきがひどくなります。その後、午後から夕方にかけては交感神経が活性化し始め、症状がやわらいでくるというのが特徴です。
自律神経系の症状なので、主な原因はストレス、または不規則な生活など。この病気を持つ人は、朝より夜のほうが交感神経が高く元気になるので、夜更かしをして生活リズムが狂いがち。すると、余計に朝起きられなくなり負のスパイラルに陥ります。治すためには、まず原因となるストレスを軽減し、なるべく規則正しい生活を送るようにすることです。